自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

九州ラリージュニアシリーズ第3戦レポート

竜巻玉子さんから、台風の心配の中で開催された、九州ラリージュニアシリーズ第3戦/クスコカップFMSCチャレンジラリーパート1「FMSC summer attack'07 in みやき」のレポートが届きました。奇跡的?にラリー中は雨が上がったようです。お疲れ様でした。

●九州ラリージュニアシリーズ第3戦/クスコカップFMSCチャレンジラリーパート1「FMSC summer attack'07 in みやき」
●2007年7月14日
●レポート:竜巻玉子

先週のラリーイン豊の国から、引き続き今週はジュニア戦だ。今回も台風4号の接近で、激しい雨と強風の吹き荒れる中、開催された。今回のラリーはジュニア戦、クスコカップが併設されており、クスコカップの精神にのっとったTC方式で取られている。エントリーの方は、ジュニア戦2クラス(B、C)、クスコカップ2クラス(CH-2、CH-3)、オープンの計23台が集結した。ジュニアBのエントリは、シリーズリーダーの後藤/松葉組、シリーズ2位の泥谷/阿部組、さらには、九州チャンピオン戦、グラベルの全日本にも参加した寺川/北川組がエントリーしている。ジュニアCのエントリーは、現在ポイントリーダーであり、これまた九州チャンピオン戦との二束のわらじを履く宮川/宮田組。また宮川の師匠であり、現在ポイント2位で専門はダートラの岩本/松本組がエントリーしている。

クスコカップの方は、チャレンジ2クラスに、地区戦では、ランサーを駆る田村/森若組、ジュニア戦の常連、豊田/蔵本組がエントリー、チャレンジ3クラスには、前田がベテランナビ藤田を従えエントリー。さらに石川/牛島組がエントリーしている。今回はオープンクラスもあり、えっ!という人が出場しているのも特徴だ。まずは徳尾/大庭組が本番車のエボ9で、さらにはあの丹羽/平田がS2000でエントリーしてきた。全日本も走る彼らのタイムと純粋に比較できるとあって、他の参加者は彼らの走りに興味津々である。ラリーの方は1本の林道を使い、1ステは、その1本の林道を2つに分け、それぞれ2回ずつの計4本、2ステは2つに分けたSSを1本にまとめロングとし2本の計6SS、合計10kmが用意されていた。まず、参加者は台風の影響で荒れる天候の中、レキに出発した。午前中にレキを行い、12:01に1号車がスタートした。なんと、ここで異変!。先ほどまで散々降り続いた雨があがった。これもひとえに参加者&オフィシャルの日ごろの行いのせいだろうか。

各クラス毎に見ていこう。まずは、肩ならししSS1、1.39km。Jr-Bの後藤/松葉組は、1:21.9で走りきる。対して寺川/北川組は1:21.5、ここは後藤/松葉組の健闘をたたえるべきであろう。Jr-Cは宮川/宮田組が1:19.8で走りきり、泉/石丸組は1:21.3。ここで宮川/宮田組が貫禄を示した。CH-2クラスの方は、田村/森若組が1:19.2で豊田/蔵本組が2秒遅れでつづく。CH-3クラスは接戦である。石川/牛島組が1:23.2で前田/藤田組が1:23.8その差0.6秒。

息つく間もなく選手達は300mのリエゾン区間を進み、SS2へと向かった。SS2もショートの1.2kmである。Jr-Bは後藤/松葉組が、寺川/北川組を0.4秒抑える1:09.0。後藤/松葉組はEP82で参加しており、DC2に比べ操縦性の劣るEPでのこのタイムはなかなかのものだ。Jr-Cはここでも宮川/宮田組が泉/石丸組を1秒抑え、連続ベスト。CH-2は、ここでも田村/森若組が速いところを見せ、2位柴田/森組を2秒抑え堂々に2位。CH-3はまたもや石川/牛島組が前田/藤田組を抑えた。しかしその差は0.9秒でありこのクラスは早くも戦闘体勢に入らなくてはならなかったその後もう一度同じSSを3、4と消化し、1ステは終了した。

前半を終わっての順位は、Jr-Bは寺川/北川組−後藤/松葉組の順で約2秒のビハインド。Jr-Cは宮川/宮田組−泉/石丸組の順。宮川選手の師匠である岩本選手は宮川選手から遅れること6秒で、約5kmのSSを消化して弟子にキロ1秒の差をつけられている状態。CH2は田村/森若組−豊田/蔵本組で9秒離されている。CH3は石川/牛島組−前田/藤田組の順で2秒差。1ステは短いSSだったため、いまいちリズムに乗れない参加者が多かったようだ。本来ならがここでサービスの予定だったが、台風の影響もあり予定を繰り上げて2ステを行うことになった。

2ステになると、路面も乾いてきた。しかし山から染み出た水が所々コースを横切っており、クルーは緊張を強いられることになる。また、雨は止んだとはいえ、風は相変わらずである。場所によっては葉が散っていたり、木が倒れかかったりしており、ペースノート走行とは別にドライバーの判断が要求される展開となってきた。

SS5は先ほどのSS1とSS2を通しで走る約3km。Jr-Bは、2秒のビハインドを追った、後藤/松葉組が、2:44.5で走りきる。寺川/北川組は2:42.9。距離が長くなれば経験が生きてくるようだ。そして最終のSS6、寺川/北川組はさらにタイムを縮め2:41.9。後藤/松葉組は2:44.7だった。地区戦でも上位入賞する寺川/北川組に、操縦性の劣るEP82で互角に戦った後藤/松葉組の健闘を称えたい。Jr-Cは、やっとここに来て師匠の貫禄を見せつめた岩本/松本組が2:44.9、弟子の宮川/宮田組は2:45.4であった。泉/石丸組は大きく遅れて2:54.5。この時点で岩本/松本組が2位に浮上。

そして最終のSS6、泉/迫田組が追い上げ、2:42.2のベスト、それに宮川/宮田組が2:42.9でつづく。岩本/松本組は、2:44.0であった。SSの順位は、宮川/宮田組−岩本/松本組−泉/石丸組の順であったが、Jr戦参加者には、クイズが出された。このクイズで沈んだのが、岩本/松本組でせっかくの順位を泉/石丸組に明渡してしまった。

CH2クラスは田村/森若組が、SS5、SS6をそれぞれ、2:41:4、2:40:2のベストであがった。対する豊田/蔵本組は2:44:2、2:45:3で勝負あった。車が変わったとはいえ、はやり数多くのラリーを経験してる田村/森若組の強さが出たようだ。CH3クラスは石川/牛島組を前田/藤田組が2秒差で追う展開となっている。まずSS5で前田/藤田組が石川/牛島組を3秒引き離す。これで前田/藤田組が1秒差で逆転することに成功。ベテランナビの藤田の好アシストが効いたようだ。つづくSS6も0.4秒差で前田/藤田組が制し、勝負の決着はついた。

−−−JrBクラス−−−
(SSで記録された所要時間[1秒につき0.5秒]とする)
1位:寺川/北川組 5:11.5
2位:後藤/松葉組 5:19.5
3位:泥谷/安部組 5:52.5

−−−JrCクラス−−−
(SSで記録された所要時間[1秒につき0.5秒]とする)
1位:宮川/宮田組 5:13.5
2位:泉/迫田組  5:23.0
3位:岩本/松本組 5:23.0

−−−クスコカップ CH2クラス−−−
1位:田村/森若組 10:12.8
2位:豊田/蔵本組 10:29.6
3位:柴田/森組  10:34.1

−−−クスコカップ CH3クラス−−−
1位:前田/藤田組 10:47.1
2位:石川/牛島組 10:48.8

オープンクラスは、徳尾/大庭組が余裕の1位、5秒差で丹羽/平田組が続いた。彼らには、8月の2007年JAF全日本ラリー選手権第7戦FMSC久留米ー吉野ヶ里マウンテンラリー‘07での走りを期待したい。

このところジュニア戦は参加台数が激減している。今回のラリーのようにチャンピオン戦や他のカテゴリーを戦う者が、立場を変え、車を変え和気藹々とラリーに参加できる環境は、とても新鮮であると感じる。今回のラリーは、ラリー人口向上のためのヒントがあると思われた。