自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

JMRCオールスターラリーレポート

竜巻玉子さんから、JMRCオールスターラリー/EAST九州2007のレポートが届きました。今年最後のイベントも最後の最後まで波乱含みだったようです。

●JMRCオールスターラリー/EAST九州2007

●開催日:2007年11月17(土)〜18日(日)

●会場:大分県臼杵市周辺

●レポート:竜巻玉子

去年より復活した、オールスターラリーであるが、今年も昨年に続き、大分県臼杵市周辺で開催された。秋晴れの放射冷却で冷え込んだ、臼杵市役所の駐車場には、全国各地から続々と競技車が集まってきた。今回は、JMRCオールスターということで、参加クラスは細かく区切られていた。

・Aクラス:排気量1400ccを含み1400ccまでの車両(4台エントリ)

一番バラエティーに富んだのはこのクラス。九州の地区戦では見ることがない車種も出場しているエントリー4台すべて異なる車種でスターレット、ミラ、アルト、ストーリアである。ストーリアが不出走のため3台となったが、優勝候補の黒原/後藤組(スターレット)に対し、4駆勢のミラ、アルトがどのようにしかけるかが見ものである。

・Bクラス:排気量1401ccより1600ccまでの車両(11台エントリ)

いつもは、4駆でブイブイ言わせている大御所が相次いでこのクラスに殴りこんできた。筆頭は四国の渡部洋三/池田組でCJ4A、さらには先週の新城ラリーで奴田原選手に続いて3位に入賞した徳尾/石原組もCJで参加してきた。いつもは大パワーの4駆を豪快に振り回して走る両選手だけに2駆でどこまで食い込めるか他のエントランも興味津々である。しかしこのクラスはブーンという強敵が構えている。なんと福永/奥村組がブーンでの参加だ。このクラスもAクラスと同様2駆対4駆の戦いである。

・Cクラス:排気量1601ccより3000ccまでの車両(5台エントリ)

2駆でのラリーの主流クラスである。九州地区から4台、他地区から1台という少々さびしい顔ぶれだが、こちらも優勝候補は、Aクラス同様バリバリの地元、後藤/古原組である。九州地区戦でチャンプを決めたわけだが、九州のレベルの高さを見せ付けるため意地をかけている。

・D1クラス:排気量3001cc以上の車両(リストリクター装着車両)(21台エントリ)

今大会の最多参加クラスである。地元九州からは地区戦の常連組に加えなんと、昨年のオールスターで、小舘選手を下し優勝した大津/吉村組がランサーを引っさげて参加してきた。その他今年中部からわざわざ九州地区のラリーに参加している手塚/斉藤組をはじめ北海道から九州まで多くの参加者が顔を揃えた。一番白熱するクラスと思われる。

・D2クラス:排気量3001cc以上のRB車両(リストリクター非装着車両)(3台エントリ)

地区戦のためのクラスと言ってもいいこのクラスだが、今回はさびしいエントリ台数であった。九州地区からは、ダートラもラリーも必ずエントリーしてくる宮川/山本組、四国からは、鯖カラーで有名でこれまたダートラにもエントリする山口選手がWRCにも参加する茨城の萌抜選手をNaviに据え必勝体制で臨んできた。本当に走ることが好きな選手が集まるクラスなので選手達はスタート前からかなり興奮気味であった。

今回のラリーの舞台は、以前全日本2輪駆動選手権が行われていたときとほぼ同じフィールドである。ラリーのスタイルは、第2種アベレージラリー方式で、最初に主催者より事前配布されたペースノートを確認のためローアベで全SS予定コースを走らせ、その後サービスを挟み本格的に競技に入る設定である。

SS1はA山の下り1.87Kmである。このA山はいつもは上りから始め、山頂付近でUターンし、下りという設定であるが今回は裏側から上り、いきなり頂上から下るというまずは度胸が試される設定である。D1クラスでトップタイムをマークしたのは、大津/吉村組である。去年DC2で優勝し、ステップアップを果たした大津選手であるが、この車で競技に参加するのは実は2戦目である。昨年DC2を売りに出したがなかなか売れず、マシンの準備も遅れた。ようやく手に入れたエボ6であるがシェイクダウンをかねて8月に四国のラリーに参加したのみ。地元はいえ、決して楽にトップを獲ったわけではないようだ。3秒遅れの2番手は准地元の大ベテランの富安/橋本組である。

さびしいD2クラスでトップを獲ったのは、こちらも地元の若手、宮川/山本組である。と思ったらなんと同じタイムで四国より参加の山口/萌抜組が走りきってしまった。WRCにも参加する萌抜ナビの好アシストで着実にタイムを稼げたようだ。そしてCクラス、こちらもバリバリ地元の後藤/古原組につづき、広島在住であるがH地区を戦う寺川/北川組が着けた。注目のBクラスは、BOONを駆る福永/奥村組が全日本選手の意地を見せトップ、それにAE111を駆るバリバリ地元の渡辺/藤田組が着ける展開となった。バラエティな車種のAクラスは、こちらもバリバリ地元の黒木/小野組が軽の軽さを活かしH地区チャンプの黒原/後藤組を抑えた。今のところ地元勢有利といった感じの展開である。

SS2は、同じくA山の下り3.41Kmmである。SS1でいい汗をかいた(冷や汗)選手達は体が冷えるまもなくSS2へ。D1クラスで最速だったのは何と北海道から参加の塩谷/灘組である。しかもエボ3。車も百戦錬磨を戦い抜いたような感じである。2番手は、准地元の福本/八尋組で2秒遅れ、車はエボ4である。D1クラスは下りとは言えパワーやトラクション性能に劣る旧車が活躍する展開となった。旧車ばかりのD2クラスは、またもや宮川/山本組がトップをマーク、多少とっちらかったりした山口/萌抜組はなんとか2秒落ちで走りきった。Cクラスは、またもや後藤/古原組に寺川/北川組がつける展開である。BクラスもSS1と同様、福永/奥村組に遅れること5秒で渡辺/藤田組が着けた。Aクラスは、黒木/小野組、黒原/後藤組とも同秒であった。

競技はまだまだ準備運動が終わったばかりで、各クラスとも数秒差の戦いとなっている。競技車はA山を離れそのままB林道へと向かった。なんとこの時点で既にリタイア車が2台。H地区より参加の大神/小野組である。SS1でコンクリートノリ面に激しくぶつかりそのまま左サイドを擦りつけながら車を平行四辺形にしてしまった。そういえば大神選手はこの地を使うラリーではいつも何かが起こっている。今年の地区戦ではセンターデフトラブルを起こしSS途中で走行不能になりリタイヤで、昨年の地区戦ではガードレールに激突している。ラリーに対する取り組みには厳しく真摯なものがある大神選手だけにいつかは完走を期待したいものである。もう一人のリタイヤ者はBクラスをかき回すであろうと思われた徳尾/石原組である。残念ながらエンジントラブルであった。

SS3は、全体的に上りであるが、フラットあり、下りありの4.2Kmである。D1クラスでトップを出したのは、大津/吉村組であった。汗びっしょりでCPにたどり着いた大津選手は、話もできないくらいの放心状態であった。地元というプレッシャーと乗りなれていない車を精一杯操った結果であろう。2番手は遅れること5秒で富安/橋本組である。D2クラスは、宮川/山本組がベストでいまのところ3連続でトップをとっている。2位は山本/米内山組で2秒落ち。注目の山口/萌抜組はパワステトラブルを起こし遅れた。Cクラスはここも後藤/古原組が取り3連続ベスト、2番手は4秒落ちで寺川/北川組でこれまた3連続2番手である。Bクラスも3連続ベストで福永/奥村組であるが、その後競技車が道を塞いだため、福永/奥村組以降の車両とAクラスは同一タイムが与えられた。

SS4はSS2の逆走となる3.52Kmである。D1クラスでトップを獲ったのは、近畿より参加の池町/安東組である。車の完成度が高い左ハンドルのインプレッサは上りでもパワー不足を感じることなく、確実に路面にトラクションを伝えたようだ。2番手はエボ4を駆る福本/八尋組。車を製作して2年目となる福本は製作当初エンジン、脚など試行錯誤を繰り返していたが、ようやく納得のいく仕上がりになったようだ。SS4での最大のドラマはD2クラスとCクラスだろう。今回D2クラスは3台のエントリがあったわけだが、なんと宮川/山本組、山口/萌抜組が相次いでリタイヤしてしまった。まず宮川/山本組であるがラジエターを破損させ、山口/萌抜組はパワステポンプトラブルでリタイヤしてしまった。山本/米内山組にとっては楽な展開となった。

Cクラスは今まで全てのSSでベストを獲っていた後藤/古原組がミッショントラブルでリタイヤしてしまった。今年九州チャンピオンを獲り波に乗りエントリしてきた後藤/古原組であるが残念な結果となった。変わってトップに立ったのは九州シリーズ2位の寺川/北川組で1秒差で香川/舟木組が着けた。Bクラスはここも福永/奥村組の独断場だ。2位に6秒差をつけた。その2位であるが、渡辺/藤田組と柴田/市山組が同秒でつけた。Aクラスはターボの威力で坂を駆け上った黒木/小野組がトップで1秒差で黒原/後藤組が続いた。

SS5はショートの1.6Kmである。D1クラスでのトップはSS4に続き池町/安東組である。2番手には2秒落ちで大津/吉村組、手塚/斎藤組、福本/八尋組、塩谷/灘組が続いた。1.6Kmのコースなのでキロ1秒以上離したことになる。D2クラスは山本/米内山組が無事に走りぬいた。さて、バリバリの大本命後藤/古原組が抜けたCクラスは香川/舟木組がトップを獲った。2番手は橋本/平田組、引間/河嶋組が続くが、寺川/北川組の名前が無い。

なんと香川/舟木組に遅れること6秒でCPにたどり着いた。実は寺川選手は左の人差し指に重症を負っていた。レキ後のサービスでアンダーガードを修正していた寺川選手は何と大ハンマーで思いっきり人差し指を叩いてしまった!。指はフランクフルトのように腫れあがり、グローブもすることができずグローブの指の部分を切ってその上から包帯をぐるぐる巻きにした。さらに激痛を少しでも緩和させるために鎮痛薬を服用していたが、その薬も切れてきたようだ。Bクラスはまたもや福永/奥村組がトップを取り、2秒落ちで渡辺/池田組が続いた。福永/奥村組はもう誰も手をつけられない状態である。

Aクラスは黒原/後藤組、黒木/小野組が同タイム。ターボパワーに勝る黒木/小野組のぶっちぎりと思いきや、黒木の脳裏には7月にこの地を使ったラリーでの悪夢(ドライブシャフト抜け)がかすめ、思いっきり攻めることができなかったのかもしれない。

ここまでSSで約半分を消化したことになるが、あらためて順位を整理しておきたい。

D1
大津/吉村:885
福本/八尋:893
池町/安東:901


寺川/北川:954
香川/舟木:968
橋本/平田:970


福永/奥村:915
渡部/池田:955
渡辺/藤田:973


黒原/後藤:947
黒木/小野:947

D1クラスは、タイムを上げてきた池町/安藤組がどこまで追い上げてくるか地元のエントラントとしてはうかうかしていられない状態である。D2クラスは、山本/米内山組が走りきれば優勝という状態。Cクラスは、寺川の指の状態が明暗を分けるだろう。Bクラスは勝負あった感じ。Aクラスは、面白くなりそうである。前半は地元勢有利な展開だったがSS6以降は一度走った場所のリピートとなるだけに、他地区の選手がどこまで追い上げてくるか見ものである。

●最後の最後にドラマが待ち受ける!!

後半は、クラス毎に見ていこう。SS6はSS3のリピートとなる。林道はすでに薄暗くなり、おまけに無風状態のため、埃もひどくなってきた。D1クラスでトップタイムを出したのはここも大津/吉村組であった。タイムは278秒でSS3の時より約5秒のタイムアップだ。2番手には1秒落ちで池町/安東組がつけた。なんとSS3より14秒のタイムアップを果たしている。リピートのため路面にも慣れた池町/安東組は驚異的な追い上げを開始したようだ。この時点での順位は変わらず。大津/吉村組(1163)−福本/八尋組(1176)−池町/安東組(1180)である。

残りは4SSで15.5Kmである。現在の池町/安東組の追い上げペースだと、十分に大津/吉村組を逆転できる感じである。SS7はSS4のリピートとなる。SS4では安東/池町組が1番時計だったたため、このSSでもトップを取り、波に乗れるはずであったが、トップを取ったのは大津/吉村組で206秒であった。2番時計は1秒遅れて手塚/斉藤組、池町/安東組は213秒であった。暗くなり埃が消えない状態のため、いくらペースノートがあるとは言え、前が見えないとなると地元勢に有利となったようだ。順位は変動はないが、大津/吉村組(1369)−福本/八尋組(1385)−池町/安東組(1393)となっているが、このステージでセカンドベストを取った、手塚/斉藤組が池町/斉藤組に3秒差までせまってきた。

SS8はSS5のリピートとなる。SS5でトップを取った池町/斉藤組であったが、このSSでトップを取ったのは、福本/八尋組で84秒。しかし1.6Kmのショートのため大津/吉村組、池町/安東組とも1秒遅れで走りきった。順位は大津/吉村(1454)−福本/八尋(1469)−池町/安東(1478)である。

SS9は、SS3、SS6で使った本日3回目である。すでに辺りは真っ暗である。さらに埃が霧のように後続車を苦しめる。全車ライトポッドを全灯させ激走しているからなおさら乱反射で行く手を阻む結果となっているようだ。そんな中、278秒のトップタイムを出したのは、大津/吉村組、手塚/斉藤組で、3秒おくれで池町/安東組が続いた。前が見えない中、大津/吉村組は地元の利点が働いたのだろうが、特筆すべきは手塚/斉藤組であろう。手塚選手と言えば、昔々まだ私が高校生くらいのころプレイドライブに記事はがよく載っているのを目にしていた。一番の思い出は逆転チャンプを目前としながらも、コースアウトし、ガムテープだらけのギャランの前でうなだれる手塚選手の写真である。

たしか今よりも髪の毛の多く、めがねの縁も厚かった(どんと晴れの東幹久のような感じ)。そんなベテラン手塚/斉藤組であるが、本大会でのベストはこれが初めてである。荒れた展開になるとベテラン強しと言われるがまさにその通りである。手塚/斉藤組がこのSSのベストで福本/八尋組に並んだ。しかも何と同秒2位が3クルーというとんでもない状態で最終SSを迎えることになった。

大津/吉村組(1732)
福本/八尋組(1759)
池町/安東組(1759)
手塚/斉藤組(1759)

残すは、最終のSS10、本日最長の6.19Kmである。コースはSS4+SS5+αである。2位に27秒差をつけている大津/吉村組であるが、話題の中心は3台がひしめく2位争いである。大津選手の走りによっては1発のチャンスもあることから皆気合が入っている。そんなA山の上りを果敢に攻めたのはやはり大津/吉村組であった。355秒のトップタイムをマークした。これで大津選手の優勝は決まったわけだが、注目の2位争いは手塚/斉藤組が大津/吉村組に遅れること3秒で、さらに遅れること3秒で福本/八尋組が付け最終SSの順位がそのまま成績となった。

D2クラスは、山本/米内山組が、硬く走りぬき優勝した。昨年に続きこのクラスは今回も完走が1台だけだった。

Cクラスは、フランクフルト状態となった指でハンドルを握る寺川/北川組、九州の路面にも慣れてきた香川/舟木組、九州のベテラン橋本/平田組の3つどもえの戦いが繰り広げられている。気を取り直して迎えたSS6を最速で走りきったのは指がフランクフルト状態の寺川/北川組である。サービスでの指へのサービスが効いたようだ。そして2番手には1秒落ちで香川/舟木組がつけた。何と3番手タイムを出した橋本/平田組を6秒ちぎる快走である。SS6を終わっての順位は寺川/北川組(1257)−香川/舟木組(1272)−橋本/平田組(1280)である。

SS7はSS4のリピートである。SS4の時は寺川/北川組が頭を取り、1秒差で香川/舟木組が着けていたが、日もどっぷり沈み埃も舞う展開の中ではどのような戦いが繰り広げられるのか誰もわからない。このような状態の中、トップタイムを出したのは橋本/平田組である。荒れた展開=ベテラン強しである。2番手には香川/舟木組が付け、若い寺川/北川組にとってはきつかったのかもしれない。順位は寺川/北川組(1487)−香川/舟木(1501)−橋本/平田(1507)となり徐々に橋本/平田組が追い上げてきている。

SS8はSS7からつづく同じ林道である。1.6Kmのショートステージでトップタイムを出したのは寺川/北川組である。ここ1番の集中力はさすがである。2番手には橋本/平田組、3番手には香川/舟木組がつけ実力伯仲の試合が繰り広げられている。ショートステージだったため順位は変わらなかったが、逆に橋本/平田組と香川/舟木組の差が縮まった。

迎えるSS9は本日3回目の4.2Kmである。このSSで大爆発したのは香川/舟木組である。何と2番時計の寺川/北川組に12秒の差をつけている。キロ2秒差の快挙である。香川/舟木組の興奮は物凄く、ゴールチェックには高いテンションのまま飛び込んでくる。一生懸命にしかも楽しく走っているその姿勢はオフィシャルにとっても好感を感じる。この調子でいけば優勝もできるのではないかと思うほどである。さて順位の方は、寺川/北川組(1891)−香川/舟木組(1899)−橋本/平田組(1916)となった。残すは6.19KmのSS10を残すのみであり、この調子でいけば、香川/舟木組の逆転優勝も夢ではなくなった感じである。

そして迎えた最終SS10、ここに来てドラマが起こった!なんと、香川/舟木組が痛恨のバースト。このステージでトップタイムだった寺川/北川組に何と55秒のビハインドを負ってしまった。おまけに橋本/平田組にも抜かれてしまい3位転落となってしまった。
Bクラスは全SSでトップタイムをたたき出している福永/奥村組にはCJを駆る大ベテラン渡部/池田組をもってしてもかなわない。福永/奥村組に何かが起こらない限りはほぼ勝負が見えてきた展開となっている。福永/奥村組は最終SSでペースダウンするほどの余裕を見せ、最終SS意外は全てトップタイムという堂々たるラリー展開で優勝した。

D1クラス、Cクラス、につづき、Aクラスでもドラマは起こった。SS5まで同秒の黒原/後藤組、黒木/小野組であるがSS6では迷いの消えた黒木/小野組が黒原/後藤組を11秒離す。なんとキロ3秒離している。黒木/小野組にとってこの車でのラリー参戦は3回目である。今回と同じフィールドを使って行われた7月のラリーではドライブシャフト抜けが多発しFR状態でなんとか完走を果たし、9月の宮崎で行われたラリーではレキが終わって早々にリタイヤしてしまった。今回はドライブシャフトを新品して望んだため同じトラブルを起こすことなく、本来の走りが蘇ったようだ。

SS7では、黒原/後藤組に譲ってしまったが、SS6での貯金が効き、まだ7秒差である。つづくショートのSS8では黒原/後藤組、黒木/小野組とも同秒であがり互角の戦いが繰り広げられる。そして本日3回目のリピートとなるSS9では黒木/小野組が5秒差をつけた。これで黒木/小野組(1861)−黒原/後藤組(1873)となり黒木/小野組はオールスター初制覇に向け最終SSへと向かった。

がしかし・・・ドラマは起こった・・・。黒木/小野組にバーストという悲劇が起こった。SS10をスタートしてすぐにバーストしたため、ロングのSSをバースト状態で走らなければならなかったため、黒木/小野組のタイムは431秒、一方順調に走り抜いた黒原/後藤組は382秒であった。これにより順位は入れ替わってしまった。何がっても慌てず自分のペースで走りきった黒原/後藤組の総合力の成果と言えるだろう。これで黒原は九州チャンプとオールスター制覇の2つの勲章を手にいれることができた。

最終成績
D1
大津/吉村:2087
手塚/斉藤:2117
福本/八尋:2121


寺川/北川:2287
橋本/平田:2326
香川/舟木:2350


福永/奥村:2187
渡部/池田:2243
渡辺/藤田:2293


黒原/後藤:2255
黒木/小野:2292

D1優勝の大津/吉村組ランサー

C優勝の寺川/北川組インテグラ

A優勝の黒原/後藤組スターレット