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厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会傍聴記(その8)

厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会

第5回厚生労働省独立法人公益法人等整理合理化委員会は、11月18日に開催された。この日のヒアリングは「医薬基盤研究所」「年金積立金管理運用独立行政法人」「中央労働災害防止協会」の3独立行政法人だ。

 トップバッターとなったのは「医薬基盤研究所」。まず冒頭で同独法理事長より当日配布の資料にもとづいて同研究所の概要の説明があった。沿革は「付属研究機関の再編強化を行うこととし、少子高齢化の中で新たに求められる画期的な創薬の開発に資する研究所を、国立医薬品食品衛生研究所大阪支所を母体とし、国立医薬品食品衛生研究所薬用植物栽培試験場及び国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センターを統合してできたものである。
 そして、効率的な運営を行う為、組織形態として、独立行政法人の形態をとったこの研究所が、独立行政法人違約基盤研究所法(平成16年第159回通常国会)をもって設立されることが決まり、平成17年4月1日に正式に発足するに至った」となっている。

 ポイントとなる医薬基盤研究所の意義としてあげているのが、
○(独)医薬基盤研究所においては、企業や大学などの研究機関では十分対応がなされていない研究を行っており、具体的には、
・難病患者の治療のための医薬品の開発につながる研究
・ワクチンの開発につながる研究
・医薬品開発の安全性評価(毒性評価)のための基盤的インフラ構築
 等について、中核的な役割を担っている。
○また、他の研究機関では取組が不足しがちな研究分野に対して助成を行っている。
○例えば、iPS細胞の研究については、他の研究開発支援機関に先駆けて早期に山中教授のヒトiPS細胞樹立の研究を強力に支援し、世界初のヒトiPS細胞の樹立という画期的な成果を上げている。
 ことなどをあげている。研究所のひととおりのプレゼンテーションの後、委員との質疑応答に入った。

 まず、北沢栄座長から「これは厚労省とも大いに関係してくることだが、薬品の開発というのは、どの程度まで独法に任せると考えているか?」という主旨の質問があった。
これに対する回答は厚労省の事務局側から「薬の開発というのは基本的に民間企業がやるが、製品になるまでの基本的なところがある。こういう民間で手の出せないような基本的なところは国がやらなければいけないと思う。難病、患者さんが少ないところは国がやらなければいけない。国としてこの分野はやらなければいけないというところも出てくると思う」という回答だった。

研究所が重視している「橋渡し」の基準とは何か? という質問に対しては、医薬基盤研究所側から「薬は基礎研究から最後までいくときに、毒性評価でドロップするものが非常に多い。それを遺伝子レベルでわれわれのところで検索できるようにしている。約20社と共同研究をしていて、新薬開発の成功率0.005%がぐっと上がるのではないかと…そうのを私たちは『橋渡し』の研究といっている」という回答があった。

委員からは、ヒューマンサイエンス振興財団との関係に関する質問もあった。同研究所はヒューマンサイエンスから交付金を受け取っている。それが不透明だという主旨だ。

これに対して研究所からは、「ヒューマンサイエンスから確かに交付金をいただいている。これは公募型の研究費で、誰でも応募できる。コンペティションにかけられて評価をされた後に選ばれる。最初から研究所に研究費がくるということではなくて、競争的な資金ということ」という回答があった。

続けて、委員からのなぜ厚労省が直接公募をやらないのか?」という質問に対しては、

「省内事業仕分けでヒューマンサイエンスの助成金の扱いが問題になって、ヒューマンがトンネルで各研究所に助成することが問題ではないかということになった。どの法人にやってもらうかということは競争的にやってもらうべきではないかということで、これから見直しをするという改革案になっている。
 基本的には研究事業をやる公益法人を公募するというかたちで、透明化をはかっていきたいと考えている」との回答だった。

この後、ヒューマンサイエンスに変わって、厚労省が直接助成するという理解で話がまとまりかけたが、厚労省が助成金を配る法人を公募するとのが正式な理解ということで、委員会が混乱した。最終的には、
「今まではヒューマンサイエンスがいろいろな研究所に配っていたが、今度は厚労省が研究者を選ぶ法人を公募する」という説明が厚労省側からあった。

こうなると、その結果がまたヒューマンサイエンスを含めた他の公益法人ということもありうる。この問題は残ったままだ。

さらに委員側から、
「公募するときに、エントリーしうる資格のある法人というのはどのくらいあるのか?」という質問も出た。

厚労省側からは「NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)だとかJST(独立行政法人 科学技術振興機構)が候補となりうる」と回答があった。

委員側からは「こういう事業は非常に大事だと思っていて、お金をつぎ込むべきところにはつぎ込むべきと思っている。それを前提にして新薬開発の成功率が0.005%というのを強調しているが、これがどの程度上げられるかという目処があるのか? また、研究者が47名いるが、その47名がいくつくらいのグループで、具体的にどういう研究をいまやっているのかが抽象的。大学ではできないこと、ほかではできないことをやっているんだと言ってるが、具体的にいくつのグループでほかでやれないことをどうやっているのかが知りたいという質問があった。

研究所側からは、「ある薬が開発されると、毒性評価で試験管内、動物実験まででドロップするものが多い。研究所でで今やっているのは、人の細胞をつかって遺伝子レベルでその薬をつかって、どのくらい毒性が出てくるかというのを評価つつあるところ。それを5年の間は同じ手法で5億くらいのデータベースを用いて、製薬メーカーと共同でやっている。0.005%の成功率が上がってくると期待されているが、はっきりとした成果までは至っていない」という回答だった。

また当面の改革事項についての質問で、「他の研究開発型独法との統合について、いつまでにどの法人とどのような形で統合を考えているのか、ヒューマンサイエンス財団との関係を見直しするということだが、ヒューマンサイエンスの方は事業を縮小していくということか」という質問があった。

厚労省側からは、「統合の話は、2007年に閣議決定されて、凍結というカタチになっている。具体的にいつどうするということは決まっていない。医薬基盤研究所に関しては政策ニーズに直結したものをやっていく。テーマも難病とかワクチンだとか、政策ニーズに絞ったものにしていく。ヒューマンサイエンスについては、企業に直結したようなカタチのものをやっていく。

 閣議決定は凍結されているが、厚労省としては、医薬基盤研と、健康栄養研と、安全衛生研究所、この三つは統合の方向性は持っている。ただ、政府全体でという話があるので、時期その他については、厚生労働省としてはこの3つの統合の方向性は持っているが、もっと大きな話の関係で決めかねるということ」という回答だった。

オーファン(希少疾患)ドラッグ行政についての質問も委員からあった。「厚労省が直接行えばよいのではないか? という指摘があると思うが、それはどう思うか?」というものだ。

「オーファンの助成については、難病団体から医薬基盤研究所において実施して欲しいという要望も出ているが、先の事業仕分けの結果や、政府の議論も踏まえ、平成23年から国の政策スキームとして行うというように聞いている」ということだった。(続く)

※質疑の内容はすべてではありません。また、私の理解の間違いもあるかもしれません。詳細は、厚生労働省の議事録を参照してください。12月17日現在、委員会は第8回まで進んでいます。進行が早いので焦っています……。