北沢栄氏の新著。特定秘密保護法の危険性を鋭く抉る。

 ジャーナリストの北沢栄氏が『小説・特定秘密保護法 追われる男(産学社)』を上梓した。

 特定秘密保護法は、権力側の都合で特定秘密が指定され、権力側の都合で犯罪者とされてしまう可能性がある法律だ。特定される「秘密」が何なのかも分からず、政府や一部の官僚の思惑ひとつにかかっている。その危険性を題材とした『小説・特定秘密保護法 追われる男』はフィクションのカタチでノンフィクション以上のリアリティを出そうと試みている。

 同法は未だ国民の支持を得ているとは言いがたい。支持を取り付けるには、最初の逮捕者に国民が十分納得する理由が必要となる。そこで目をつけられたのが一人のジャーナリスト、今西譲。彼はステルス戦闘機F35の配備と日本メーカーの関係を週刊誌に書いたのを発端として、公安警察に目をつけられるようになる。それまでも原発問題など政府に目障りな記事を書いていた今西は、特定秘密保護法による逮捕者に仕立てるには格好の人物だった。公安と今西の間での緊迫したやりとりの中に、同法の危うさが浮かび上ってくる。

 小説から現実に戻ると、2013年12月安倍政権のもと強行採決された特定秘密保護法は、昨年末にすでに施行されている。小説のような事件は現実にはないと思いたいが、起こり得る可能性が十分にあると思わせるのは、ジャーナリストとして活発な活動を行なってきた作者の見識と手腕によるものだろう。

 

小説・特定秘密保護法 追われる男

小説・特定秘密保護法 追われる男