自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

サスペンションをとくに意識させないのが今のクルマ?

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現在、なんとかクルマのことについて記事を書いているが、本や雑誌で得た表面的な知識があったものの体験が伴わなかった時期がある。クルマにとってサスペンションは大事なものと思っていても、あまり興味の対象にはならなかった。やはりパワーの方に目が行きがちだった。

当初は運転するのは自分のクルマばかりなので比較の対象もない。自分のクルマの乗り心地や操縦性についても「こんなものかなあ」と思う程度の認識しかなかった。

サスペンションに関して「性能によってこんなに違うものなんだ」という体験をしたのはダートトライアルへの出場を通じてだった。これは未舗装路のタイムトライアル形式の競技だが、低ミュー路を走るということでドライビングの練習にも最適なものだ。

この日、自分のクルマで練習をしていたのだが、たまたま友人のクルマを借りて走ることができた。

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そして自分のクルマの操縦性の悪さを体験した。自分のクルマではコーナリング中はアンダーステアで、どんどんフロントが逃げていき舵角を増やしていかないとだめな感じだったのが、友人のクルマだと舵角を一定にしたままで、きれいな弧を描いてコーナリングできる。自分のクルマがパワーはあるのに、友人のクルマの方がタイムもいい。

同一車種ではないために、純粋にサスペンション性能の違いだけとは言えないが、このときクルマによって操縦性が違うというのを思い知らされた。と同時に、その後はちゃっかりと友人のクルマを借りてダートラに出場して比較的好成績を挙げることができた。

現在は、仕事柄いろいろなクルマに乗ることがあるが、それでも普通に乗っているだけだと「硬い」とか『乗り心地が良い」くらいしかわからないというのが本当のところだ。逆に、一般路で極端に操縦性がわかるようなクルマは現在の市場では受け入れられないとも言えるだろう。