飯嶋洋治のブログ

自動車系の著者です。

GTmemories16 『A60系セリカ/セリカXX』が発売されています。

モーターマガジン社より『GTメモリーズ16 A60系セリカ/セリカXX」が発売されています。私は編集長、および解説の執筆をしました。

 

 

セリカXX2800GTはシリーズ中のフラッグシップとして人気に。

1981年7月にセリカがA60系にフルモデルチェンジされました。主力はMA61セリカXX2800GTですが、その後、GA61セリカXX2000GT、TA63セリカ1800GT-Tが追加されてラインアップが充実されて行きます。

2800GTは2.8L直6DOHCエンジンを搭載して重厚なハイパフォーマンスカーとして存在感を示しますが、2000GTは当時の最新鋭エンジンである1G-GEU型直6DOHC24バルブユニットを搭載。直6としては軽量であるとともに、高回転まで気持ちよく吹け上がるスポーティさで人気となります。

1G-GEU型エンジン搭載の2000GT。24バルブはトヨタとしては初。オプションのLSDを装着してファンtoドライブが可能。

メインとなるセリカは登場時は2T-GEUや18R-GEUエンジンという前世代のエンジンでちょっと精彩がありませんでしたが、1982年9月にGT-Tがラインアップに加わって話題となりました。3T-GTEU型は1.8L直4DOHC+ターボで160psを発生。日産がターボ路線を展開していましたが、まだL20Eという2L直6とはいうもののSOHCターボだったのにくらべるとDOHC+ターボというのはインパクトの強いものでした。

 

 

セリカ1800GT-Tはツインカムターボで当時の自動車ファンに衝撃を与えました。

シャシは基本的にXXと同様でしたが、軽量なボディと相まって良好な操縦性を見せました。またエンジン排気量をグループB規定に合せて若干アップし、リアをセミトレから4リンクリジッドにしたTA64セリカはサファリラリー3連覇など、モータースポーツでも活躍を見せました。

グループB規定のWRCで活躍したTA64セリカ。耐久ラリーを中心に堅実な成績を残しました。

その他、モーターマガジン誌の当時の記事の再掲載や、セリカシリーズのカタログを抜粋で掲載しています。全国書店、およびネット書店で発売中ですので、お手にとっていただけると幸いです。

 

 

 

超低粘度エンジンオイルの有用性と注意点。自動車の基礎知識(106)

最近は、0W-20などの、ウインターグレードが0になる“超低粘度”のエンジンオイルが多く用いられるようになってきたが、低粘度オイルにはメリット、デメリットがある。

エンジンオイルの粘度が高いということは、エンジン内部でフリクションロス(摩擦による損失)になるということだ。そういう意味ではできれば低粘度に越したことはない。あまり硬い(高粘度)オイルを使うと、エンジンパワーが損なわれてしまうことがある。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)

特に現在はCO2の排出削減が厳しくなっているため、低粘度オイルを使用してオイルによる抵抗を少なくすることで燃費を稼ぐという意味もある。粘度が低いと、熱を持ったときやエンジンを高回転まで回したときに油膜切れの恐れがあるが、現在はエンジンオイルもベースオイルや添加剤などの工夫により、そうしたことのないよう対策が施されている。

 

(より詳しくは↑をご覧ください)

ハイブリッド車など最初から超低粘度オイルが指定されている車種が多くなっている。そうしたクルマには、それに適したエンジンオイルを使用しないと燃費が悪化することがあるので注意が必要だ。

逆に古いクルマ(エンジン)の場合は、粘度が高いオイルを使用したほうが良い場合がある。長距離を走ったクルマのエンジン内部ではピストンリングなども摩耗が進行している。ここで低粘度のオイルを使用してしまうと、圧縮、燃焼というエンジンの行程で、オイルによるシール(密閉)作用が効きづらく、パワーを発揮できなかったり、オイルの油膜切れが起きることにより、エンジン本体にダメージを与えてしまうことがあるからである。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)

“オイルで圧縮漏れを防ぐ”とはいうものの、新車時のエンジンの性能に劣ることになってしまうため、ある程度粘度の高いオイルを使用するのがベターということになるだろう。

また、古いエンジンに最新の低粘度のオイルを使用するとなると、たとえばエンジンブロックとオイルパンの取り付け部分などからエンジンオイルが漏れるなどということも考えられるので注意が必要だ。

エンジンオイルの分類と粘度(2015年時点での記事です)。自動車の基礎知識(105)

エンジンオイルにはいくつかの規格と種類がある。オイル缶の表示にSF、SG、SH、SJ、SL、SM、SNなどがあるが、これはAPI(アメリカ石油協会)の定めたグレード(サービス分類)。 潤滑やシール(気密)ということから考えるとSGで最高レベルとなり、SHからSNは環境性能を強化したものとなる。

 

 

もう1つ、日米の自動車工業会で組織するILSAC(国際潤滑油標準化認証委員会)が認証する規格がある。こちらのほうがAPIよりも評価基準が厳しいといわれており、ILSAC GF-4やGF-5が高性能を示す。

きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)

選択の基準の1つとなるのがSAE(アメリカ自動車技術者協会)で定めた粘度指数だ。これはSAE5W-30、10W-40といった形で表示され、こうした表記をされるものをマルチグレードオイルという。シングルグレードのものはSAE30などの形で表記される。

きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)

マルチグレードオイルの「W」の部分はウインターの略で、左側の数値がウインターグレード、右側の数値がサマーグレードを表す。ウインターグレードの数値が小さいほど、寒さに対して強く冬期の始動性などにすぐれることになる。またサマーグレードの数値が高いほど熱に強いオイルで、いわゆる硬いオイルということになる。

きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)

マルチグレードオイルのベースとなるオイルの粘度は、左側のウインターグレードが示す。右側のサマーグレードの粘度は添加剤によって保たれる。 つまりオイルを長い間使用していると、添加剤の効果が薄れ、粘度がウインターグレードに近くなってくるという傾向だ。

もちろんふつうに市販されているものは、一般的な使い方をする限り5000km程度は十分に使用でき、性能が保たれているが、特にターボエンジンなど発熱量が多いエンジンの場合には、ウインターグレードが0などの数値の小さいものは避けたほうが無難といえる。

 

吸排気系のメンテナンス/スロットルバルブ。自動車の基礎知識(104)

スロットルバルブは基本的にはアクセルペダルによって開閉を調整され、燃焼室に空気を取り入れる。通った空気の量を計測するエアフローメーターによってガソリンの噴射量が決められるため、燃調の要となる重要な部分でもある。スロットルバルブはケーブル(アクセルケーブル)で機械的に操作されるものと、電気式にスイッチで操作されるもの(スロットルバイワイヤー)があるが、前者ではアクセルケーブルのメンテナンスも必要になる。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)

スロットルバルブにはEGR(排ガス再循環:NOx低減のための機構)によりエンジンから排出したブローバイガスが回ってくる(図)。これはHC(炭化水素)が主な成分で、そのために循環系路周辺にカーボンが付着する。

電子制御式のスロットルバルブの場合、汚れてもコンピューターが自動学習してしまうので、調子の変化に気づかず「こんなもんだろう」と思って放っておいてしまいがちでもある。知らず知らずのうちにドライバビリティが悪くなっていたり、カーボンによってアイドリング不調などということも起こる可能性もある。

 

 

ここを清掃するには、市販のケミカル剤を使用する方法がある。ただ、スロットルボディを取り外したりなどの、ある程度の知識、技術も必要だ。そういう面では慣れてない人はプロに任せたほうがいい。機械式にケーブルでスロットルバルブの開口部を開け閉めしている場合には、ケーブルのメンテナンスや保護も必要になる。これも市販のケミカル材などを塗布することでメンテナンスできる。

 

 

エアフローメーターについて見ていこう。 現在のエアフローメーターはホットワイヤー式と呼ばれるものがメイン。ホットワイヤーは熱線風速計の原理を応用したもので、流速と流量を計測している。ここがカーボンなどで汚れると、適正な燃料噴射が行なわれない可能性が出てきます。これ自体も専用のクリーナーがあるので、洗浄することが可能だ。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)

レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違い 。自動車の基礎知識(103)

ガソリンにはレギュラーガソリンとハイオクガソリン(無鉛プレミアムガソリン)がある。ハイオク仕様エンジンにはハイオクガソリンを入れる必要がある。そこを解説する前に、まず原油の精製の話から。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)より

原油はそのままではクルマの燃料として使えない。石油精製工程では、まず原油蒸留装置(常圧蒸留装置)に送られ、そのときの沸点の差で石油ガス留分、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分、常圧残渣に分けられる。そのうちのナフサ留分が水素化精製装置で硫黄分を除去され、そこで軽質ナフサと重質ナフサに分けられる。

軽質ナフサは、ガソリンの基材や石油化学用の原料となり、重質ナフサは接触改質装置を経て高オクタン価のガソリン基材となる(図)。またガソリン基材は、接触分解装置、アルキレーション装置、異性化装置などからも精製される。このガソリン基材が調合されることによってレギュラーガソリンとハイオクガソリンが作られる。

 

 

一般に高性能(高出力)エンジンは圧縮比を高くし、点火時期が早められる方向となるが、そうすると熱効率が上がる反面、圧縮の過程で完全に混合気を圧縮する前に燃焼室ではないところでノッキングが起こりやすくなる。これはアクセルを踏み込み、エンジンに高負荷をかけたときに、エンジン内部で「キンキン」「カリカリ」という異音がすることで気がつくことが多い。

きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(日刊工業新聞社)より

 そこでいわゆるハイオクガソリンが有効になる。オクタン価が高いとノッキングが起こりにくい。言い換えれば、ハイオクガソリンは自然発火しにくいと言える。そのため高圧縮比エンジンに適しているということになる。

そう考えると、レギュラー仕様のエンジンにハイオクガソリンを入れることにあまりメリットはない。また、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンを入れても動かないわけではないが、ノッキングの危険性があることを認識しておく必要もある。現在のエンジンは自動で遅角し対応するものが多いが、それでもエンジンの所定の性能は期待できない。

近年、高圧縮でもレギュラーガソリン仕様のエンジンが登場している。これは、ピストン形状の工夫や筒内直噴エンジン(マルチホールインジェクター:燃料噴射口を小さく、多くすることによって霧化を促進できるインジェクター)が増えて、ガソリンによる冷却が行なわれるようになったことに一因がある。直噴は、高温のピストンに向けて燃料を噴射するので、燃焼室内の冷却効果があるわけだ。これで高圧縮でもノッキングが起こりにくくなっている。