自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

自動車の基礎知識(43)CVT(無段変速機)の構造と特徴

出典:続・自動車メカニズムの基礎知識(日刊工業新聞

 

CVT無段変速機、連続可変変速機)は広義にはATですが、トランスミッションケース内の構造はコンベンショナルなATとは違います。ATはケース内にギヤがありますが、CVTはギヤではなく2つのプーリーとベルトがあります。イメージとしては自転車のペダルに回されるギヤと、タイヤ側のギヤ、それとチェーンの関係に近いと思います。

ベルトは2つのプーリーにかけられており、走行状態によってプーリーの直経を無段階に変化させて変速します。

具体的にはプーリーにベルト溝があり、ベルトが挟み込まれる形になります。この溝は、ベルトがスムーズに動くようにテーパー状になっています。直経が変化すると書きましたが、実際には走行状態によって、それぞれのプーリーの幅が広くなったり、狭くなったりして、事実上の直経を変化させているのです。プーリーは入力側をプライマリープーリー、出力側をセカンダリープーリーと呼びます。

出典:続・自動車メカニズムの基礎知識(日刊工業新聞

発進時や登坂時など大きな力が必要な場合は、プライマリープーリーの幅が広がって事実上直経が小さくなり、一方セカンダリプーリーの幅が狭まり直経が大きくなるため減速され強い力が得られます。高速走行時にはその逆となり、増速されてエンジン回転が低くなります。

ギヤを用いたATの場合には、変速時に多少なりともショックが生じますが、CVTにはそれがなく、継ぎ目のない変速ができる機構となっています。伝達ロスが少なく燃費も向上するのがメリットです。

デメリットとしては、高出力なエンジンの場合にはベルトの滑りが起きやすいことがあります。そのため、軽自動車やコンパクトカーなど比較的ローパワーな車種に多く採用される傾向です。

CVTクラッチ操作のない2ペダルとなりますが、この部分については電磁クラッチを用いたり、通常のATと同じようにトルクコンバーターを用いて対応しています。