自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

自動車の基礎知識(6)シリンダーブロックの構造

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

シリンダーブロックは、エンジン全体の20~30%の重量を占める大きなパーツです。この内部には、ピストンシリンダーという筒状のスペースが形成されています。エンジンの主要パーツを組み込むために厳しい条件が求められます。かつては鋳鉄製のものが一般的でしたが、現在では高性能化に応えるために、軽量化は放熱性を鑑みアルミ合金製のものが主流になっています。

とくにアルミ合金製のシリンダーブロックには、ピストンリングが摩擦した際のピストンシリンダー本体の摩耗を避けるためにシリンダーライナーという部品がはめ込まれ、そこにピストンリングを装着したピストンが収まります。

エンジンを適正な温度に保つための冷却水が循環する経路もシリンダーブロックに設けられていて、これをウオータージャケットと呼びます。

さらに潤滑のためのオイルの経路もシリンダーブロックの中に張り巡らされます。

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

エンジンに関する重大なトラブルは、シリンダーブロック内で起こる可能性が高いです。たとえばエンジンが焼き付いたといえば、主にピストンがシリンダーの中で溶けて固着した状態を言います。またエンジンブローは、コンロッドがシリンダー内で折れたり、ひどい場合にはシリンダーブロックを突き破り外部に飛び出てしまう場合もあります。

そこまでいかなくても、たとえば冷却系の故障からオーバーヒートを起こした場合、シリンダーブロックとシリンダーヘッドの間にあるヘッドガスケットが熱によって吹き抜け、走行不能になる場合もあります。ガスケットの損傷だけならば修理は可能ですが、熱が入ってしまったことにより、シリンダーヘッド、さらにはシリンダーブロックにまで影響が及ぶと、事実上そのエンジンは再生不能になることもあります。