ここでは車軸懸架式と独立懸架式というサスペンションを大括りに分けた場合の形式の違いを解説していきます。ちなみに懸架(装置)というのはサスペンションを日本語で表したものです。
車軸懸架式はシンプルで頑丈だが乗り心地ではマイナス面もある
クルマで一番シンプルなサスペンションは、左右輪を1本の車軸(アクスル)でつないだものです。これを車軸懸架式サスペンションと総称します。一般にはリジッド式と呼ばれることが多くなっています。アクスルとフレームの間にはスプリングを介します。これによってタイヤからの衝撃が直接ボディに伝わるのを防ぎます。ただ、スプリングだけでは振動がいつまでも収まらないためにショックアブソーバーを合わせて装着しています。
この方式はシンプルで頑丈というメリットがありますが、左右輪が一本につながっているために、常に両輪が連動して動いてしまうデメリットがあります。
一方、独立懸架(インディペンデント)式サスペンションは、車軸懸架式のように左右がつながっておらず、それぞれが独立して動くことができます。結果としてタイヤの路面への接地性が高くなり、乗り心地もよくなります。こちらは構造が複雑になり部品点数も多く、車軸懸架式にくらべると強度は不足する方向になります。
車軸懸架式、独立懸架式の路面接地性
ここで、車軸懸架式、独立懸架式それぞれのサスペンションが、路面状況によってどのような動きをするのか見てみます。上図の①は車軸懸架式、②は独立懸架式のクルマで、片方のタイヤが道路の突起に乗り上げた状態を示しています。
①は片方のタイヤが持ち上がっただけでボディ(車体)全体が傾いています。この場合、乗っている人もボディと同様に揺すられることになります。
②は、突起に乗り上げた方のタイヤは持ち上がっていますが、ボディ全体には影響がでていません。これは左右のタイヤが独立していて、おのおのが上下に自由に動くことができるおかげです。
こうした違いから車軸懸架式は貨物車のリアなど乗り心地よりも頑丈さが求められるクルマに採用されることが多いです。独立懸架式は、現代の乗用車の多くが採用しており、乗り心地や操縦安定性に優れていることが多くなっています。