ガソリンにはレギュラーガソリンとハイオクガソリン(無鉛プレミアムガソリン)がある。ハイオク仕様エンジンにはハイオクガソリンを入れる必要がある。そこを解説する前に、まず原油の精製の話から。

原油はそのままではクルマの燃料として使えない。石油精製工程では、まず原油蒸留装置(常圧蒸留装置)に送られ、そのときの沸点の差で石油ガス留分、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分、常圧残渣に分けられる。そのうちのナフサ留分が水素化精製装置で硫黄分を除去され、そこで軽質ナフサと重質ナフサに分けられる。
軽質ナフサは、ガソリンの基材や石油化学用の原料となり、重質ナフサは接触改質装置を経て高オクタン価のガソリン基材となる(図)。またガソリン基材は、接触分解装置、アルキレーション装置、異性化装置などからも精製される。このガソリン基材が調合されることによってレギュラーガソリンとハイオクガソリンが作られる。
一般に高性能(高出力)エンジンは圧縮比を高くし、点火時期が早められる方向となるが、そうすると熱効率が上がる反面、圧縮の過程で完全に混合気を圧縮する前に燃焼室ではないところでノッキングが起こりやすくなる。これはアクセルを踏み込み、エンジンに高負荷をかけたときに、エンジン内部で「キンキン」「カリカリ」という異音がすることで気がつくことが多い。

そこでいわゆるハイオクガソリンが有効になる。オクタン価が高いとノッキングが起こりにくい。言い換えれば、ハイオクガソリンは自然発火しにくいと言える。そのため高圧縮比エンジンに適しているということになる。
そう考えると、レギュラー仕様のエンジンにハイオクガソリンを入れることにあまりメリットはない。また、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンを入れても動かないわけではないが、ノッキングの危険性があることを認識しておく必要もある。現在のエンジンは自動で遅角し対応するものが多いが、それでもエンジンの所定の性能は期待できない。
近年、高圧縮でもレギュラーガソリン仕様のエンジンが登場している。これは、ピストン形状の工夫や筒内直噴エンジン(マルチホールインジェクター:燃料噴射口を小さく、多くすることによって霧化を促進できるインジェクター)が増えて、ガソリンによる冷却が行なわれるようになったことに一因がある。直噴は、高温のピストンに向けて燃料を噴射するので、燃焼室内の冷却効果があるわけだ。これで高圧縮でもノッキングが起こりにくくなっている。
