エンジンが動くためには燃焼が必要なのは何度も書いてきましたが、そこで大きな役割を果たすのがスパークプラグによる点火です。その他の行程で効率よく吸気し、混合気をしっかり圧縮したとしても、点火する火花が弱かったり、点火のタイミングがずれてしまっては、パワーを十分に引き出せません。
そのための良い点火をするには、イグニッションコイルやディストリビューターといった電気系のシステムが必要です。
まず、スパークプラグから火花を発生するための電源はイグニッションコイルで作り出します。車載バッテリーの電圧は12Vですが、これをイグニッションコイルで1万V以上に高めます。
それを各気筒に装着されたスパークプラグに送るわけですが、その役割はディストリビューター(配電器)が担っています。カムシャフトやクランクシャフトと連動し、ディストリビューター内部のローターが回転することにより、順番にスパークプラグに拝殿をします。
現代のエンジンでは見られなくなりましたが、イグニッションコイルで高電圧を生み出すにはブレーカーポイントが設けられていました(図参照)。これは電流を遮断し逆起電力(急激に電流が遮断されることにより、発生するバッテリー電圧と逆方向の電圧)を発生する装置です。
その後、このシステムは耐久性や高回転時の性能の問題などから姿を消し、シグナルジェネレーターとイグナイターに置き換えたフルトラ式が登場しますが、それは改めて解説します。