自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

自動車の基礎知識(21)混合気と理論空燃比の話

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

ガソリンが効率よく燃えるには条件があります。それが空気との割合です。この割合のことを空燃比(空気燃料比)といいます。混合気に含まれる空気の重量を燃料の重量で割った値でA/F(エーバイエフ)とも呼ばれます。

具体的にはガソリン1に対して空気が14.7のときを理論空燃比といい、これがガソリンが完全燃焼できる割合とされています。前回の解説でも書いた通り、排ガス浄化の役割を担う三元触媒もこの理論空燃比のときに機能します。そういう意味では非常に重要な値と言えるわけです。

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ただ、実際のエンジン出力は、ガソリンが少し多めの12から13(リッチの状態:図参照)くらいが一番大きくなり、これを最大出力空燃比といいます。空気の割合が多くなるとリーンの状態です。この場合ある程度までは燃費の向上が見られますが、出力は落ちる方向です。

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

このへんのコントロールは、ドライバーがスロットルバルブをアクセルを踏めば燃料噴射装置が行ってくれます。電子制御燃料噴射装置を用いた現代のクルマでは、スロットルバルブ付近に設置されたエアフローメーターが吸入空気量やアクセルの踏み方を感知し、その空気量に合わせた燃料を噴射して制御しているわけです。

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ドライバーとしては、もちろん理論空燃比にしなければ…などと考える必要はなく、クルマの方が走行状況に応じてドライバーの意思を先回りして感知するような生地な制御を行うので、現代のクルマは走行性能、環境性能、燃費の面でも有利になることが多くなっています。