ステアリングを切るとクルマが曲がるというのは、簡単なようで実はいろいろ複雑な要素を含んでいます。タイヤとの関係が重要なのですが、ここではステアリング機構に話を絞ります。
ステアリング機構はフロントのトーコントロール機構
ステアリングを切るということは、①ステアリングギヤと直交するラックギヤを動かす②タイロッドを左右に動かす③フロントサスペンションの一部であるナックルアームの向きをかえる、という流れになります。ざっくりと左右のトー角を同じ角度だけ動かすことといい換えられます。
ちなみにこれは、現在主流のラックアンドピニオン式の流れで、ほとんどの車種で現在はパワーステアリングが装着されています。クルマにとってサスペンション性能が優れていることは非常に重要ですが、ステアリングが重すぎたり鈍すぎたりしては性能を活かし切ることはできません。そのために重要な役割を担っています。
ランクアンドピニオン式はシンプルな機構で、ナックルアームを思い通りに動かすのに向いています。ステアリングギヤ比はクルマの用途によって設定されますが、傾向としてはスポーティなものは少ない舵角で大きく切れるようにする方向になります。
ステアリングホイール位置を適正にして正確な操作の助けに
正確な操作という意味では、ステアリングホイールを正しい位置でホールドすることも大切です。かつてはシートのスライドや背もたれの角度は調整できるものの、ステアリングホイール位置は固定されたままというクルマが普通でした。
現在はステアリングホイールの高さを調節するチルト機構や体からの距離を調整するテレスコピック機構が取り付けられ、より正確なステアリング操作ができるようになっています。また、安全性に関してはエアバッグが標準装着されるようになりましたし、運転中にステアリングホイールから大きく手を動かさなくてもいいように、それ自体に電装系のスイッチが付けられるなどの工夫がされています。