飯嶋洋治のブログ

自動車系の著者です。

キングピン角の意味・自動車の基礎知識(80)

ステアリングを操作したときのタイヤの回転中心をキングピン軸といいます。これはクルマを横から見るとキャスター角になりますが、前後から見た時の左右の傾きをとくにキングピン角といいます。

キングピンというパーツはフロントサスペンションがリジッド式の場合には実際に存在します。独立式の場合には、このパーツがありませんが、ステアリングを切ったときのタイヤの回転中心があるので、それを仮想キングピン軸とか仮想キングピン角と呼びます。

きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(日刊工業新聞社)
キングピン角によってステアリングの操作力を軽減する

キングピン角は通常は前後から見て内側に倒れる角度がついています。これはキャンバー角に関係なく、ステアリングの操作時のタイヤの回転中心とタイヤの接地面中心が接近するようにしているからです。

こうすることで、支点から作用点(下図①キングピン角のO-M)の距離が近くなるために、てこの原理でより小さい力でステアリング操作ができるようになります。

もうひとつ役割があります。クルマの地上高が変わらないと仮定した場合、キングピン角があることで、ステアリングを切るとタイヤは地面より下に動こうとします。これは直進状態でタイヤが一番高い位置にあり、ステアリングを切るとタイヤの位置が下るということです。

タイヤが直進状態に戻ろうとする力もサポートする

これは実際には、ステアリングを切るとクルマを持ち上げようという作用になります。このためキャスター角と同じくステアリングを握る力を弱めるとクルマは下に下がろうとしますから、ハンドルにセルフアライニングトルクが発生します。こうしてタイヤが直進状態に戻る力を助けているわけです。逆に考えるとキングピン角が強すぎるとハンドルが重くなるとも言えます。

きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(日刊工業新聞社)

キングピン軸とタイヤの接地中心を同一にした例もあります。これはスバルff-1のサスペンションです。キングピン軸を内側に倒すのではなく、タイヤの接地中心と同一にすることで、操作力も小さく直進安定性にも優れます。FF方式では理想ともいえます。

きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(日刊工業新聞社)

 

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