自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

自動車の基礎知識(3)4サイクルエンジンの基本

出典:続・自動車メカニズムの基礎知識(日刊工業新聞

エンジンは熱を仕事に変える機会です。ただ、単にエンジンに熱を加えただけでは動きません。エンジンの内部で、熱の授受や体積膨張により仕事を発生するための媒介となる流体(作動流体といいます)が必要です。これはエンジンの場合は、燃焼ガス(混合気)となり、ピストンを動かして仕事に変換します。

4サイクルエンジンの基本の行程をおさらいすると(1)混合気をエンジン内部に取り入れる「吸入」、(2)混合気をピストンで圧縮してパワーと溜め込む「圧縮」、(3)混合気に点火することでパワーを生み出す「燃焼」、(4)燃焼の終わった後の燃焼ガスを排出する「排気」となります。

効率良く動かすにはさまざまな工夫が必要です。良い燃焼をLためには吸入でガソリンと空気が適切に混じり合った混合気が必要になります。

出典:続・自動車メカニズムの基礎知識(日刊工業新聞

このときのポイントは「良い吸気」です。ポート噴射(シリンダーに入る前にガソリンが噴射される場合)のエンジンでは、ピストンが押し下げられると、空気の量に応じて、適切な量のガソリンが混合されてシリンダー内に入ってきます。直噴エンジン(シリンダーに入ってからガソリンが噴射される場合)では、シリンダー内部で混合気が作られますが、ともにシリンダー内部に混合気で満たされるのは同じです。

吸気が終わるとピストンは下死点(もっとも下部)にありますが、続いてピストンが上昇することによって圧縮行程に入ります。混合気が圧縮されると温度が上がり、より燃えやすい状態になります。ここでのポイントは「良い圧縮」です。燃焼行程では、圧縮された混合気がスパークプラグにより点火されます。そこで、一気に膨張を始めます。つまり「良い点火」もポイントになります。

エンジンの工夫は主にこれらの点に注がれます。最後の排気行程では、混合気が膨張して下死点にあるピストンが再び上昇することで、燃焼ガスをシリンダー内から一掃し、その後は最初の吸入行程に戻ります。これが繰り返されるのがエンジンの作動です。