ポイント式では、コンタクトポイントに火花が出るというデメリットがあります。回路にコンデンサーを入れてそれを防ぎますが、長く使用しているとポイントの接触面が焼けたり、高速回転のときうまく作動しない場合がありました。そこで機械式のポイントの代わりに、トランジスタを使って電流を遮断する方法が考えられました。
これをフルトランジスタ(フルトラ)式といいますが、1次電流の断続をポイントではなく電気式に行います。
具体的には、ポイント式のカムとポイントの代わりに、シグナルローターとピックアップコイルがあり、ここで発生したベース電流を使います。ディストリビューター内のローターとピックアップコイルによって構成されるシステムをシグナルジェネレーターと呼びます。
フルトラ式では、シグナルジェネレーターで点火のタイミングを感知し、電気信号をイグナイター(トランジスタ)に送ります。イグナイターでは、わずかな電流を大幅にアップできるトランジスタの特性を利用して、シグナルジェネレーターからのベース電流を大きな電流に増幅しイグニッションコイルから点火に必要な高電圧を生み出すのです。
この方式を採用することで、コンタクトブレーカーのポイントに起因するトラブルがなくなりました。
フルトラ式のほかにセミトランジスタ(セミトラ)式というシステムもあります。これは点火信号を送るのをシグナルジェネレーターではなく、もともとあったポイントを残しスイッチとして代用される方式です。コンタクトポイントはありますが、イグナイターを使用するために12Vではなく0.5V程度の微弱な電圧で済み、ポイントへの負担が減るなどのメリットがあります。