前回、シリンダー容積の話が出たので、それに関連してエンジンの大きさの解説をします。一般に大きなエンジンという場合には大排気量エンジンのことを意味します。それは排気量(単位はcc、もしくはL:リットル)で表され、「シリンダーの断面積✕ストローク」で求められます。
ピストンの動きによって排出されるガスの量でもあることから「排気量」とも呼ばれますが、単純にこれが大きければ強いパワーの発生を期待できます。
もう少し詳しく見ていくと、上図のようにシリンダーの直径をボア、ピストンの作動行程をストロークといいます。1気筒あたりの容積はこれで求められるので、ボアとストロークはエンジンの大きさと直接的な関係があります。
もうひとつ大きさと関係してくるのが気筒数です。1気筒あたりのパワーは限りがあるので、パワーアップするためには3気筒、4気筒、6気筒とシリンダー数を増やし、その分排気量をアップできます。単純に多気筒になればその分排気量が増えるのでハイパワーが可能な方向になります。排気量に気筒数をかけた値をとくに総排気量ということもあります。
ちなみに1000ccとか2000ccとか排気量(総排気量)を切りの良い数値でいうことがありますが、実際にはシリンダーは円筒状なのできっちり割り切れる数値ではなく、1000ccは997cc、2000ccは1997ccだったりします。
もちろんエンジンの性能は、排気量や気筒数だけで決まるわけではありません。同じ排気量でもロングストロークかショートストロークかでパワーの出方やフレキシビリティが違ってきますし、その他の要素として圧縮比、燃焼室形状、吸排気バルブ数、バルブタイミング、点火時期などの要素が複雑に絡んできます。このへんはクルマの使用用途によって変わってくるところです。