前回簡単に触れましたが、スパークプラグで点火するために必要な電圧は、イグニッションコイルで電磁誘導を起こすことで得ています。
イグニッションコイルには2種類のコイル(1次コイル、2次コイル)を使った「変圧器」と言えます。コイルの鉄心のまわりに髪の毛ほどの細い鋼線を2万から3万回巻き付けた2次コイルと、その上に0.5から2mmほどの鋼線を巻き付けた1次コイルという構成です。
1次コイルにバッテリーの電流を流すと磁界が発生します。この状態で電流を遮断すると1次コイルに数百Vの電圧が生まれます。これは自己誘導作用によるものです。
次にその内側にある2次コイルにも、1次コイルとの間の相互誘導作用によって数千から数万Vの高い電圧が発生します。
この1次コイルの自己誘導作用と2次コイルの相互誘導作用で起きた電圧がハイテンションコード(プラグコード)によってスパークプラグに送られて火花を作り出すというわけです。
上の図にも示しましたが、イグニッションコイルは1次コイルの内部に2次コイルを設置したもの(開磁路型)のものが用いられてきましたが、さらに周りを鉄心で囲って磁力線を閉鎖する閉磁路型のものへと変わっていきました。
先述しましたが高い電圧を得るためには、一瞬電流を遮断する必要があります。古典的な方法ではコンタクトポイントによってこの作業が行われます。これをポイント式と呼びます。
コンタクトポイントはディストリビューターの中にあります。中心にシリンダーと同数のカムを持ったローターがあり、これが回転してコンタクトブレーカーのアームを押します。すると、アームの先にあるコンタクトポイントが開いて1次コイルの電流を切ります。
これによって、1次コイルに大きな電圧を持った電流が流れ、さらに2次コイルとの相互誘導作用でスパークに必要な電圧が得られるわけです。
●余談
まだ学生時代、セリカLB1600STに乗っていたときに出先でエンジンが止まってしまいました。チェックしてみるとディスビローターの破損!。幸い近所に自動車解体屋さんがあって、同型のエンジンからローターを入手してことなきを得ました。シンプルな昔のクルマはこんなこともできたという面で、冷や汗をかきましたが懐かしい思い出です。