2005年3月に私が初めて書いた単行本が『モータースポーツ入門(グランプリ出版)』でした。その本が出版権解除になったので、ここで内容を公開していきます。ただし、すでに20年以上前の本ですので、車両カテゴリーなどが現状に則していません。汎用性のある部分を抜粋していきますが、それでも古い情報が混じりがちだと思います。その辺をご認識いただければ幸いです。
モータースポーツの現実(2)
■楽しむモータースポーツという選択肢もある。

モータースポーツとの関わり方はステップアップを目指すだけではない。「勝つ」ではなく「楽しむ」ことをメインテーマにすれば話は違ってくるし、お金の面にしても節約できる部分はかなりある。例えば勝つことを考えれば、タイヤはレースごとに新品が必要になる。しかし、勝負だけにこだわらなければ使用限界まで使うことができる。ドライビングテクニックを身につけるためには中古のタイヤでも問題ない。
LSD(リミテッドスリップデフ)のオーバーホールも、タイムにこだわり続けると、年に1回以上は必要になる。これも1回につき5万円以上の出費になるだろう。4WD車になって、フロント、リアを同時にするとなれば費用も2倍となり気軽にはできない。これも楽しむ程度であれば、オーバーホールをしないで走ることもできる。

上位入賞するほどのタイムは期待できないかもしれないが、それでクルマが壊れるということでもない。レースでは比較的よく行われるエンジンオーバーホールなども、そういうスタンスで参加しているなら、エンジンが壊れるまでは必要ないだろう。
逆に、消耗パーツの代表的なものであると同時に、安全性にも大きく関わってくるブレーキパッドは、参加するカテゴリーにあったものに交換するのが望ましいし、残量の確認も怠りなくしたい。激しいブレーキからの熱によって劣化するブレーキフルードもこまめにエア抜きや交換をしたい。要はお金をかけるところと節約するところを見分ける必要があるということだ。
大前提として、定期的な収入のある社会人であるならば、楽しむというスタンスでモータースポーツを続けられるということでもある。

誰もがトップドライバーを目指すことはない。自分のできる範囲でモータースポーツを続けるのは賢明な選択だ。ただ、ひとつ言えるのは、行動をおこさなければ何も始まらないということだ。だから、モータースポーツを始めたい気持ちが起きた時に、間髪なく行動に起こすことが大事とも言える。
すべてのことを準備してモータースポーツ活動を始めるのは不可能で、そういう問題はやりながら処理していくのが近道だと思う。実際にはやっているうちに遠い世界だと思っていたモータースポーツが意外に身近な趣味であることに気が付き、いつの間にかビギナーを脱して中堅レーシングドライバー、ラリードライバ、ジムカーナドライバー、ダートトライアラーになっている自分に気がつくはずだ。
