自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

ちょっとだけ乗ったクルマ(1)スズキ・セルボ





所有したとまでは言えないが、1週間から1カ月くらい家にあったクルマが何台かある。その中で印象に残っているものを挙げていこう。一応自分のクルマだったセリカLBと、その後に乗るセリカ・カムリXTの間をつなぐクルマが今回のセルボだ。

 

「このクルマしばらく乗ってていいぞ」と父が言った。それまで乗っていたセリカLBは、どうしてもゆずって欲しいという友人の熱意に負けて手放した。おそらく10万円で折り合いをつけたと記憶している。

 

軽自動車というとカッコ悪いというイメージがあった。確かこの頃、私の父はミニカエコノターボに乗っていたと思うのだが、同じ軽でもセルボの方がスポーツカーっぽくてワクワクした記憶が残っている(ちなみに私はそのエコノターボにも乗っているはずだがほとんど記憶にない…)。セルボのフォルムは先代にあたるフロンテクーペを引き継ぐもので、その原案はジョルジェット・ジウジアーロと言われれば返す言葉もない。

1969年に発売されたキャリーバンもジウジアーロのデザインが原案。インパクト強い…

運転してみると、550cc直3の2ストロークエンジンは、勇ましく回っているようでなかなか加速していかない感じだった。それでも4速MTで一所懸命シフトチェンジしながら走るのは、ただ走るだけで満足していた当時の私には十分楽しかった。メーターパネルも随分スポーツカーっぽい感じだったように思う。

 

夏の盛りにあまり効かないクーラーの助けを借りながら、環七の内回りを南下して城南島あたりまでいったり、関東近辺の峠にも行ったりした。峠ではリアエンジンのためにステアリングの軽さも印象に残っている。

 

2ストならではの悲哀?も感じた。確か奥多摩に向かう途中でオイルチェックランプが点灯し、ガソリンスタンドに退避。スタッフに「オイルチェックランプが点いちゃったんで…」と心細げに言うと「2ストだから仕方ないですね」と笑いながら継ぎ足してもらったこともあった。

 

2ストエンジンとかRRとか、スポーツカー(っぽい)とか今では流行らない要素が満載だったクルマだが、今でも日常にこういうのがあればずいぶんと楽しいと思う。

 

↓クリックしていただけると嬉しいです😅