自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

モータースポーツとサラリーマンの小遣いの関係

 プレイドライブが4月号で休刊ということで、ますます参加型モータースポーツも厳しくなってしまった。私も2000年まではモータースポーツ誌の編集長という立場だったし、その後、フリーランサーとしてプレイドライブで仕事をさせてもらった。他人事ではない.  今でもモータースポーツが好きということでは人後に落ちないつもりだし、今でも余裕があればダートラでもジムカーナでも参加したいという気持は持っている。その余裕がなかなか生まれないのが、才覚のなさかな? とは思っているが、こちらに行くと話がずれそうなのでこの辺で止めて置く……。
 で、最近は、モータースポーツから遠ざかってしまっているため、とんと業界には疎いのだが、久しぶりにモータースポーツを統括しているJAF(日本自動車連盟)にのHPに行ってみた。そこで「モータースポーツ統計」
http://www.jaf.or.jp/msports/toukei/fr/f_index.htmのコーナーのデータをもとにして、ジムカーナとダートトライアルの参加台数の折れ線グラフを作った。

これを参考にモータースポーツの状況について書いてみたい(たった一つのデータですし、想像の部分が多いので、分析? の部分は参考程度に)。
 まず、出場台数を見ると、カテゴリーに限らず右肩下がりなのはご存知の通り。特に97年から99年あたりでジムカーナが落ち込んでいる。世の中的には、山一證券が破綻したり、消費税が5%になった時期にあたる。
 その後、特にジムカーナではっきり分かるのが1999年から2000年にかけて落ち幅がゆるくなっていること。ここは「景気が底を打った」などと言われているころだろう。ITバブルなどと言われていた。世の中的にどうなのだろうとネットで検索してみると、新生ファイナンシャルグループが発表した「サラリーマンの平均お小遣い」というのがあった。

http://career.oricon.co.jp/news/89261/full/#rk
 それを折れ線グラフにしてみると、結構出場台数と連動している感じだ。

 当たり前といえば当たり前だが、一般的には浮世離れしている趣味のように思われるモータースポーツも、経済動向と無縁でもいられないようだ。一旦ゆるくなった出場台数の落ち方が一旦持ち直したのが、2001年以降にまた落ち方が急になる。これもサラリーマンの小遣いと連動している。
 ただ、ジムカーナが2003年に踏ん張り、翌年はやや上向きにさえなっている。ここで何があったか思い出してみると、JAFの車両規定の改定で、N車両が設定された時期だ。よりノーマルに近いN車両の導入は、特にジムカーナにとっては有効な方法だったのかな? と想像できる。Sタイヤではなく、ラジアルタイヤでジムカーナを、という動きも活発になった頃だろう。ダートラの方も角度が若干ゆるくなっている。
 「サラリーマンの小遣い」のグラフでは、2007年は二つ目の山でもある。ここは、モータースポーツでも本来ならもうちょっと参加台数が増えても良かったと見るか、この程度の落ちで済んだと見るかは意見の分かれるところだと思う。ただ、この競技出場台数のグラフは、JAFのものだから、2つめの山の時期にライセンスなしで出られる草レース、ドリフトなどに流れていった人がいることも想像できる。いずれにしても、その後は右肩下がり。ジムカーナとダートラがほぼパラレルに下がってきているのも特徴だ。
 そして、昨年は東日本大震災から、福島第一原発の被災と放射能漏れ問題、ユーロ安、円高で自動車メーカーはもちろん、経済全体の不振などなどマイナス要因ばかり。
 ジムカーナもダートラも、関係者は、参加者を増やすための努力をしてきているのだと思うが、世の中の流れの前には無力なのかもしれない。プレイドライブ編集部も本当にお疲れさまでした。

 と暗いエントリーになってしまったが、決して諦めているわけではないので、念のため……。がんばろう! モータースポーツ