自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

自動車の基礎知識(17)インテークマニホールドの工夫

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

インテークマニホールド(インマニ)に求められる基本的な性能は、各シリンダーに均等に空気を送ることです。そのためには形状が重要で、空気がスムーズに流れるために曲がりが少なく、内部が滑らかであることが求められます。

とは言え、エンジンルームという狭い空間に収められるので必然的に限界があります。その中で効率が良い形状が決められていきます。

材質はかつてはアルミニウム合金のものが主でしたが、冷たい空気が通ることから耐熱性よりも、軽量化を優先して樹脂製が用いられます。

インマニの太さや長さもエンジン性能に影響を与えます。一般に流路が長いものは低中回転重視、短いものは高回転重視の方向性です。これは吸気の慣性効果と関係しています。もう少し具体的に解説します。

出典:「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」

空気には重量がありますから、押し合って次から次へと流れ込もうとします。そのため吸気バルブが閉じているときに流れ込んできた空気はそこにかたまりを作ります。そのかたまりが大きくなったときに吸気バルブを開くと多くの混合気をシリンダー内に取り込むことができます。これが「吸気慣性効果」です。

ごく単純化して説明するとインマニの断面積が大きく、短いほどその周期が短くなります。つまりエンジンが高回転型になります。低回転では、逆に細く長い方が適しているということになります。

また、慣性効果と絡み合っているのが「脈動効果」です。これはエンジンの吸気ポート部分の空気密度が高くなると、その後の空気の密度が相対的に低くなり、ここに圧力振動が発生します。

これが音速でインマニ内を伝わり再びポートに戻ってきたときにうまく吸気バルブを開いていると効率の良い吸気ができます。

これらをフレキシブルに実現するために可変吸気システムを用いることもあります。

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