自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

JAF九州地区ラリー選手権開幕戦レポート

九州地区ラリー&ダートラレポーターの竜巻玉子さんから、2008年九州ラリー選手権開幕戦のレポートが届きました。前回お知らせしたように、プレイドライブ誌が復刊し、地方情報も積極的に掲載するという情報があることから、竜巻玉子さんのレポートは今回で一応の終了となります。もちろん、九州地区に限らず、当ブログに情報が送られてくれば、できる限り掲載していきたいという意向に変わりはありません。あとは復刊するはずのプレイドライブ誌の様子を見守りたいと考えています。竜巻玉子さん、とりあえずですがお疲れ様でした。もしかしたら、これから忙しくなるのかもしれませんが(笑)(飯嶋)

●2008JAF九州ラリー選手権第1戦 JMRC九州ラリーチャンピオンシリーズ第1戦「CRMCラリー IN 九州2008」
●開催日:2008年3月15日(土)〜3月16日(日)
●会場:福岡県内
●レポート:竜巻玉子

ダートラから、一ヶ月遅れて九州ラリーシリーズも開幕した。開幕戦は今年から新たに九州ラリーシリーズに加わったCRMCが主催する。CRMCは全日本ラリーにも参戦する三苫和義選手が所属するチームで、もちろん本大会も三苫選手が競技長を務める。よってスポーツ性の高いイベントである。CRMCとしては今回新たに九州ラリーシリーズに加わったわけだが、長年Jrシリーズを開催しており、リズムの良い飽きの来ないラリーで人気があった。もうひとつの話題として今年から九州ではSタイヤの使用が禁止となった。選手達はサスとタイヤのチョイスに悩みながらの参戦となった。その影響かもしれないがスタート地点の福岡県飯塚市の某スタート会場にはちょっと寂しい12台の競技車が終結した。今回は各クルーのタイヤと脚のチョイスを中心に見ていきたいと思う。

おっとその前に、今回のラリーについて説明したい。今回はスペシャルステージ無しの第2種アベレージラリーである。スペシャルステージ無しとなると、我慢の走行を強いられたり、ナビは俯いて計算することが多いためグロッキーとなり、スポーツ性がスポイルする形となるが、今回は細かい計算をなくし、ハイアベとローアベを交互に設定し走り重視のラリーとしている。そのハイアベだが、全部で11本、約40K弱準備されており走り応えも満点である。

さて、競技の方だが、今回はAクラスの参加がなく、CクラスとBクラスのみであった。Cクラスは7台のエントリーがあったが、昨年のチャンピオン田村選手は今年からBクラスへ移籍、シリーズ2位の山田選手は欠席、そうなるとシリーズ5位の中原選手が有利か。Bクラスの方は前述の田村選手がDC2で、昨年のシリーズチャンピオンの後藤選手は、「ミッションが〜」ということで今回はチーム員のサービスで参加し、同じくシリーズ2位だった寺川選手はエンジンがまだ仕上がっていないということで参加を見合わせている。というわけで今回参加している中でのシリーズ上位入賞者は3位だった橋本選手であるが、その他BクラスにはAクラスから移籍してきた黒原選手もいるし、実は誰が勝つかまったく分からない状態である。

・1本目 (AVE52Km/h 1.7K)
1本目は、1.7Kのショートステージである。このステージはこんなに気合を入れなくても乗れる設定でちょうど肩ならしといった感じである。Cクラスでこのハイアベを減点0で上がったのは、藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)である。藤本選手は昨年は参加が少なくシリーズ8位であったが、もともと舗装の速さには定評があり、実は今ラリーでも優勝候補と目されている。そして減点1で上がったのは泉/石原組(ラジアル+舗装用脚)である。泉/石原組は昨年Jr戦でコンビを組み、泉選手は残念ながらシリーズ4位であったが、石原選手はチャンピオンを獲った。Ch戦のレギュラー陣に混じりいきなりの大健闘と言える。

Bクラスの方はCクラスから移籍した田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)、ベテラン橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)がそろって減点0で上がり、内藤/山内組(ラジアル+舗装用脚)。塗園/鶴田組(減ったラリー+ダート用脚)が同じく減点1で上がった。AクラスからBクラスに移ってきた黒原/三戸組(ラジアル+舗装用脚)はEK9の挙動に手こずり5点食らってしまっている。各クルーは次のローアベで火照った身体をクールダウンした後、次なるハイアベに向かった。

・2本目 (AVE52Km/h 3.44K)
2本目は1本目と同じく、AVE52Km/hであるが、コース的には乗れない場所で、各クルーは全開走行を強いられる。Cクラスでこのハイアベを最少減点で上がったのははやり藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)で減点10、7秒差で中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)がつけた。Bクラスはまたもや田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)と橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)が同減点21で上がった。Bクラスは2つのハイアベを消化しただけだが、既に昨年度Cクラスチャンピオンの意地とBクラスレギュラー組がぶつかり合う形となった。

・3本目 (AVE52Km/h 2.23K)
続く、3本目のハイアベは先ほどから続く尾根を使った2.23Kmである。同じ尾根と言っても、今度が下りであるため度胸があれば乗れる設定。Cクラスはここでも藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)が減点0で上がり、度胸だったら誰にも負けない大神/小野組(超硬質ダート+舗装用脚)が減点1で上がった。大神/小野組はこの度胸災いし、昨年は5連続リタイヤという不名誉な金字塔を打ち立て、特にJAFCUPとダブルタイトルのかかった最終戦では車が平行四辺形になるほどのクラッシュをし、修復不能とまで思われたが、今回は遠くから見るとちゃんとエボ6に見えるまでに仕上がっていた。

Bクラスは下りということもあり、参加6台中3台が減点0で上がった。減点0で上がったのは橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)、内藤/山内組(ラジアル+舗装用脚)、井上/高田組(超硬質ダート+舗装用脚)で、田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)は1点食らってしまった。

・4本目 (AVE55Km/h 1.7K)
4本目のハイアベは、1本目の順走となるが、AVEが55Km/hに上がる。Cクラスでこの2順目を最速で駆け抜けたのは、ここも藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)で減点、次は同じく1本目のハイアベで好位置をキープした泉/石原組(ラジアル+舗装用脚)が1点差でつづくBクラスはというとベテラン橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)、内藤/山内組(ラジアル+舗装用脚)が減点0で上がった。内藤選手は以前はナビをしており、全日本優勝経験もある。全日本トップレベルの動体スピードに慣れたその目は昨年まで参戦していたAクラスでは物足りなかったのかもしれないが、そろそろエンジンがかかってきたようである。

・5本目 (AVE55Km/h 5.16K)
5本目は、2本目、3本目のハイアベを通して走る5.16Kである。Cクラスで最少減点で上がったのは、藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)、中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)で供に減点23である。今までぶっちぎりの速さでラリーをリードしてきた藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)であるがここにきて遅れが生じた。何でもこのステージは舗装が荒れており、また落ち葉、コケが路面を覆いかなり怖い思いをしたらしい。一方ラリータイヤを履く中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)は路面とタイヤがいい具合でマッチしたようだ。

Bクラスは田村/桝谷組と橋本/平田組がそろって減点29で上がる。Bクラスは現在橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)がトップで3秒差で田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)が続いている。

・6本目 (AVE55Km/h 5.16K)
1ステージ最終のハイアベは5本目に走ったのとまったく同じところのリピートとなる。この区間での役者は藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)である。何と!リタイヤしてしまった。Orz。コケと落ち葉に脚をすくわれた藤本/大庭組(ラジアル+舗装用脚)は右前から側溝に落ち、ロアアームとドライブシャフトを破損し、TheEND。トップを取ったのはもちろん減ったラリータイヤを履く中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)である。コケや落ち葉の多い路面ではラリータイヤの方が有利だったようだ。Bクラスは田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)が気を吐き、橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)に10秒差をつけた。キロ2秒の快挙である。

これで前半戦を消化したわけだが、順位を整理しておこう。ぶっちぎりの藤本/大庭組が消えたCクラスは、中原/森安組(51)−泉/石原組(73)−牟田/永山組(74)の順である。残りのハイアベは18K。中原/森安組は2位泉/石原組に22秒差をつけているので多少は安堵できるかもしれないが、油断は禁物である。Bクラスは前半戦の最終ハイアベで橋本/平田組に10秒差をつけた田村/桝谷組であるが順位は、橋本/平田組(50)−田村/桝谷組(53)−内藤/山内組(86)でかろうじて橋本/平田組がトップである。

リタイヤした藤本/大庭組以外は車両のダメージもなく、簡単な整備と暖かい食事を取り、次なるステージに向かった。2ステはクネクネした落ち葉の多い、さらにコケの生えたステージが戦場となる。

・7本目 (AVE52Km/h 4.61K)
2ST最初のハイアベはいきなりの4.61Kmである。このステージをCクラスで最速でかけぬけたのは、やはり中原/森安組(ラジアル+舗装用脚)である。ラリータイヤのチョイスが吉と出たようだ。そして2番手は牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)である。ラリーフィールドではあまり名前を聞かない牟田選手であるがもともとはカートに乗っていた。全日本ドライバーの原口真選手の車を譲り受けた牟田選手はベテランナビ永山選手のアシストの元、ようやくラリーに慣れてきたようだ。Bクラスは田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)である。2番手の橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)に10秒差をつけとうとう逆転してしまった。

・8本目 (AVE55Km/h 2.23K)
次のハイアベは2.23Kであるが、指示速度が55Km/hに上がる。しかしコース的には何とか乗れる設定、Cクラスでの最少減点は中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)と大神/小野組(超硬質ダート+舗装用脚)である。このステージはラリータイヤの方がよかったのかもしれない。

Bクラスは田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)、黒原/三戸組(ラジアル+舗装用脚)がそろって減点0で上がり、内藤/山内組(ラジアル+舗装用脚)が減点1で続いた。トップに立った田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)はリードを広げた。一方EK9の動きに戸惑っていた黒原/三戸組(ラジアル+舗装用脚)もようやく車に慣れてきたようだ。

・9本目 (AVE55Km/h 4.62K)
次のハイアベは4.62Kmである。この林道は道幅がかなり狭く車体の大きなCクラスの車は苦戦が予想されるコースである。そのCクラスだが、何と中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)、牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)が最少減点(27)でクリアした。大きな車体のGDBを巧みに操った結果である。

Bクラスは今度は橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)がCクラスをも凌ぐ減点11でクリアした。田村/桝谷組は14点(ラジアル+舗装用脚)でクリアしており橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)がジワリジワリと歩み寄ってきておりその差は5秒となった。

・10本目(AVE55Km/h 2.22K)
このステージは2ステ2本目に走った2.2Kのリピートである。Cクラスはここでも牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)が来た。ここでも中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)と同減点(1)で走りきった。この時点でTOP中原/森安組とは約30秒離れており、残り4.6Kmのハイアベでは逆転は難しいと思われるが最期まであきらめずに走ってもらいたい。一方Bクラスは田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)が減点0で上がり、橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)は1点食らってしまった。その差は6秒!

・11本目(AVE55Km/h 4.61K)
最終のハイアベは2STの2番目に走った4.6Kのリピートである。Cクラスは現在1位の中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)と2位の牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)は31秒離れているので両者とも何も無ければそのまま定位置と思われるが、牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)が自滅しないことを祈りたい。Bクラスは田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)と橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)が6秒差なので何があるかわからない。

若さとベテランの対決となるが、田村選手の若さが出なければ良いが……。という推察の元、最終ハイアベが始まったが、結局Cクラスは何もドラマは起こらなかった。24秒遅れで中原/森安組(減ったラリー+舗装用脚)が最速で走りきり、期待の牟田/永山組(ラジアル+舗装用脚)は安全策を取り30秒遅れで走りきった。牟田選手はこれをバネに大きく飛躍してもらいたい。

一方注目のBクラスだが、ゼッケンの若い田村/桝谷組(ラジアル+舗装用脚)が14秒遅れで走りきった。なんとか無事だったようだ。そして橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)、マキシマムアタックの橋本/平田組(ラジアル+舗装用脚)は10秒遅れで走りきるが2秒届かず悔しくも、すがすがしい2位となった。

今回のラリーは、参加者の負担削減のため、Sタイヤの使用が制限され、「減ったラリー+舗装用」、「ラジアル+舗装用脚」、「超硬質ダート+舗装用脚」の3種類の組み合わせが見られたが、Cクラスは「減ったラリー+舗装用」が勝利した。今回のコースはコケや落ち葉の影響で、コンパウンドでグリップさせるよりもブロックで引っ掛けるようなグリップのさせ方がベストだったようだが、今回オーバーオールを獲ったBクラスの田村選手は「ラジアル+舗装用脚」だった。駆動方式や車重による影響も多いと覆われるが、トータル的には、「ラジアル+舗装用脚」だったのかなと思われた。

・最後に・・・
前回のレポートで飯嶋さんからお話がありましたが、PD復刊に伴い竜巻玉子のレポートはこれにて終了とさせていただきます。復刊される予定のPDは地方の記事も積極的に取り上げていくとのことですので、内容の濃いレポートが掲載されることと思います。
今までつたない文章を読んでいただきありがとうございました。また掲載の場を提供していただいた飯嶋さんに感謝いたします。
−−竜巻玉子−−