「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識」が日刊工業新聞社より4月28日に発売となりました。良くも悪くもアマゾンでの売れ行きが指標となるわけですが、今回は予約の段階からわりといい動きを見せていて、「私の本も結構売れるようになったな……」などと思っていたのですが(盛ってます…)、実際、本番はこれからです。内心ドキドキというのが本音です。私はクルマ好きではあるものの、専門的な勉強をしてきたわけではないので…などという言い訳も10冊以上もクルマ関係の単行本を書いてしまうと効かなくなってしまうのも怖いところです。
自動車ライターでもモータージャーナリストでも同じですが、これはクルマという製品があってはじめて成り立つ仕事です。このあたりは文章だけで自分の世界を紡ぎ出せる小説家などと違うところ。クルマという対象がなければ手も足も出ないというのが実態で、そういう面では巷で批判されるように自動車メーカーに依存(寄生?)しているという面があるのは否定できないでしょう。
ただ、メカニズム自体の解説というのは新車の解説や評論に比べると普遍性があって、メーカー依存性が少ないという面もあります。ですから、わりと「これは自分の仕事です」と言いやすいのかなという気はしています。もちろんメカニズムはエンジニアやメーカーが生み出したものですが、クルマに普遍的な技術をわかりやすく解説するということは、また別の求められる仕事だと自己満足的に考えています。
クルマ業界を見回してみると、EVに大きくシフトしている感は否めません。ですが、あくまでも感覚的なものですが、それがエコロジーのためというよりも、グローバルで儲かりそうだからという側面が強いような気がしてなりません。もちろん企業がやることですから、儲かるということは重要ですが、それだけというのも社会的存在としてはどうなのかな?などと真剣に考えてしまう青臭い自分がいるのも事実です。
そう一気にEVが普及できるとは考えてはいませんが、仮にそうだとしても、クルマはパワーユニットだけで走るものではありません。きっとサスペンションやシャシーの技術がしっかり生かされているクルマが支持され、安全性はもちろん楽しさという面でも差を付けるのだと思います。そういう面で拙著「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識」は若干の意味のある本になったのではないかと自負しています。