前著「自転車競技入門」の約半年後、2009年3月に出版したのが「ランサーエボリューションI~X」です。というと、ライターとしての仕事としては非常に順調のようにも見えますが、派遣社員やアルバイトの掛け持ちをしながらのライター稼業なので、かなりきつい日々を過ごしていました。確か、この本は飯田橋で古文書?のスキャンのアルバイトをしながら、その合間(というには時間を多く割いていましたが…)に書いていたと思います。愚痴はこのくらいで…。
この本は、もともとラリーアートの社長が書く予定だったようです。ただ、御本人がお忙しいということで、私に話が回ってきました。私としてはランサーエボリューションはモータースポーツ専門誌をやっていた頃の登場時から見聞きしていましたし、「エボクラブ」というファンサイトでスーパー耐久のレポートを書いたり、ダートラ、ラリーの記事を書いていたので、仕事として受けやすかった面はあります。
私が書くのも言ってみれば三菱側の都合という面もあるので、サポート体制?が整っていたというのは心強かったです。ガチでWRCでのランサーエボリューションの開発に関わっていた方からインタビューをしたのですが、例えば私が、「ランエボの操縦性は?」みたいなあいまいな質問をすると「操縦性の定義とはなにか?」みたいな返しをされて、言葉に詰まったというようなこともありました。まあ、エンジニアにとっては当然のことでしょう。
一方で当時広報部に当時在籍しており、かつては篠塚建次郎さんのナビゲーターをつとめていた方の、「WRCの1000湖で3位に入ったランタボは空燃比がリッチでリッター400mしか走らなかった」とか、「スタリオンはラリー車としてはサスペンションストロークが…」とかぶっちゃけ話をしてくれたのは、マメ知識的で私自身の勉強にもなりました。
当時は、三菱自体も2004年の「リコール隠し」の影響を引きずっており、WRCを中心としたモータースポーツ活動も2005年で撤退していましたが、そんな中で協力をしていただけたのはありがたかったですし、その活動を総括した本としてはいい出来だったのかな?と自負しています。ぎりぎりエボXまで入れられたという面でもタイミングは良かったです。