自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。「モータースポーツ入門」、「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」(ともにグランプリ出版)、「スバル・サンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」(三樹書房)、「きちんと知りたい!自動車エンジンの基礎知識」(日刊工業新聞社)など著書多数。たまにサーキットを走ります。

ちょっとだけ乗ったクルマ(5)トヨタ・スターレット

所有したとまでは言えないが、1週間から1カ月くらい家にあったクルマが何台かある。その中で印象に残っているものを挙げていこう…という趣旨の記事の5回目トヨタ・スターレットSi。このクルマは、友人が持っていたクルマで、一時期ダートトライアルでダブルエントリー(1つの競技会において1台で2人が出場すること)させてもらったことがある。

 

この当時、私はAE92カローラFX1600GTVという、割りとダートトライアル向きのクルマを持っていたが、同クラスのライバルであるスターレットターボにはどうしても敵わない感じだった。FXは140psの後期型4A-GEUエンジンを搭載して、4輪ストラットの独立式サスペンションで素性は悪くなかったのだろうが、スタタボより200kgほども重い。これは致命的な感じ。ダートラに出場しても最下位付近をうろうろという悔しい思いをつのらせていた。

2E-ELU型エンジンは1.3L直4SOHC。1気筒あたり3バルブで吸排気効率を上げていた。最高出力は92ps/6200rpm。

そんなときに新人編集部員のY君が入社する。聞いてみると彼もダート競技に興味があるそうで、乗っているクルマを聞くとスターレットSiだという。これは使えそうだ!ということで、当時お世話になっていた全日本ダートトライアルにDクラスのブルーバードSSS-Rなどで出場していた木村精二さんから中古のダートラ用ショックアブソーバーを譲って頂いて装着。タイヤは折半で購入して即席ダートラ仕様に仕上げてコースに持っていった。

 

 

で、走らせてみるとこれが軽快のひとこと。考えてみれば、FXの前軸荷重くらいの重量しかないわけで、今までがアンダーステアでどんどんはらんでいってしまうところを、きれいなドリフト走行で抜けていくことができる。スターレットのクラスでは、すでにカルタス1300GTiやシティが主力になっていたこともあり勝ち目はないが、走らせる楽しみではFXより一段、二段上という感じだった。

フロントストラット、リアトレーリングアーム&ツイストビームというシンプルなサスペンション。操縦性としてはもう言うことなしでした。

それからしばらくの間、Y君を無理やり?誘いながら各県シリーズのダートトライアルなどに出場するが、このスターレットのおかげでなんとか真ん中より上の順位が定位置となり、それまでの劣等感から抜け出すきっかけとなった。

 

あと新潟の三条市あたりでダムに沈む町の最後のイベントとして、その公道?を使ったダートトライアルに出たとか、けっこういい思い出にもなっている。日帰りでそんなことができたのは若さがあってのことでもある。残念なことに、このクルマは練習中にY君が転倒。そのまま廃車になってしまったが、忘れられない一台となった。

 

好きなクルマにこだわって走るのも大切なことだが、こと勝負でいい成績を残したいと思うと、道具となる自動車の比率も(ドライビングテクニックは置いておいて…)かなり重要だなということも痛感させられた。これをきっかけに私はFXからスターレットGTターボに乗り換えることになる。その辺の話も機会があれば書きたいと思う。

 

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