「ランサーエボリューションI~X」を出してから4年の空白ののち、2013年に「モータリゼーションと自動車雑誌の研究」、2014年に「モータースポーツのためのチューニング入門(新訂版)」をグランプリ出版から出しましたが、ライターとしてだけで食べているわけではなく、アルバイトも平行して行っていました。
そんな私の苦境?をなんとかしてくれようとしたわけでもないのでしょうが、三樹書房(事実上グランプリ出版と同一)の編集者が「サンバーの本ならきっと売れますよ。書いてみます?」と提案してくれてかたちになったのが「スバルサンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀」でした。出版は2015年4月のことになります。
正直、モータースポーツやスポーツカーに目線が向いていたので、サンバーというクルマ自体には大きな思い入れはありませんでしたが、せっかくの提案を無碍にするのも申し訳ない気がします。また、私の家にも一時期サンバーがあり、いろいろ重宝だったことや、知り合いがサンバーディアススーパーチャージャーに乗っていたこともあり、面白さ自体は知っていて、わりと身近だったこともあり引き受けることにしました。
構成としては、導入部に解説の本文を書いていますが、中盤から後半部はカタログ中心だったため、それほど手間がかからないだろうという甘い読みもありました。予定通り、国会図書館や自動車図書館通いをして解説を書き、カタログは編集部がトヨタ博物館所蔵のものをスキャンしてくれました。ただ、スキャンしたものを「はいどうぞ」と渡されただけなので、そこからが悪戦苦闘となりました。
どのカタログのどのページを使うのか?という整理の部分から始まり、それにキャプションを付けていくという作業になります。この作業が非常に煩雑なばかりか、カタログ画像が多いのでキャプションを付けていくのがまた大変。三樹書房の編集部に都合1ヶ月くらい詰めていた記憶があります。ここは読者の方には関係ないところですが…。
ただ、出来上がってみるとけっこういい感じになりました。はじめてのハードカバーの本ですし、中身もまあまあ充実している感じ。発売されるとまずはインターネット上を中心に個人ブログなどでも紹介され、その後主要Webメディアで紹介されるとアマゾンの順位がどんどん上がり、しばらく「車・バイク部門」の1位となっていました。
「売れる」という編集者の予想がばっちりと当たったわけです。この辺の肌感覚は現場にいないとわからないのかもしれません。
特にスバルの本拠地の太田の書店ではベストセラーになっていたようですし、スバルの社員の方もけっこう読んでくれていたようです。また、自動車レース小説などで著名な高齊正さんからもお褒めいただき、ここから親交が始まりました。
残念ながらこの本も増刷の話はいまのところなく、三樹書房のウェブサイトからサンプルを無料で読めるようになっているようです。古本などでは高値になっていますので、三樹書房のウェブサイトから増刷希望の旨を伝えていただけると助かりますm(__)m